研究課題/領域番号 |
20K02654
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
松浦 義昌 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (60173796)
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研究分担者 |
横山 久代 大阪市立大学, 都市健康・スポーツ研究センター, 准教授 (10647829)
川端 悠 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (20713390)
渡辺 一志 大阪市立大学, 都市健康・スポーツ研究センター, 教授 (50167160)
田中 良晴 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (60236651)
高根 栄美 大阪総合保育大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70388792)
高根 雅啓 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (90285312)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 保育者 / 生理的ストレス / 心理的ストレス / 生活習慣 |
研究実績の概要 |
今日の重要な社会問題の一つに、待機児童問題、保育所不足、保育者の離職や不足などがある。特に保育者の離職や不足は、深刻な社会問題であり保育者を取り巻く様々な環境の整備や改善が望まれる。このような背景に鑑み、本研究は、保育者が抱える様々なストレスを生活習慣および生理、心理面から検討し、保育者にとって効果的なストレス軽減法や対処法について検討することを目的とした。 2020年度は、コロナ禍により計画通りに測定できなかったが、127名の保育者(山口県と大阪府)を対象に調査、測定した。まず、保育園の園長と保育者に対して研究に関する詳細な説明を行い書面にて同意書を得た後、調査、測定を行った。調査は、健康度・生活習慣診断検査(DIHAL2)と心理的ストレス検査としてストレス自己診断(HSCL)、およびコーピング調査としてストレスコーピング調査(WCCL)を行った。生理、生化学的ストレス測定は、血液中の酸化ストレス(d-ROMs)と抗酸化力(BAP)および非特異的IgE抗体検査を行った。保育者の健康度・生活習慣診断検査は、概ねマニュアルに記載されている平均値と差はないが、運動に関する要因は低い傾向にあった。酸化ストレスは、年齢により異なり、20代の若い保育者は概ね340U.CARR以下で、抗酸化力は40歳以上の中高齢の保育者では、1800μmol/l以上であった。非特異的IgE抗体は、問診による花粉症調査で花粉症である保育者のIgE抗体は花粉症の時期でなくても高値であった。 第1回目の調査、測定を終えた保育者には、健康度・生活習慣診断検査、ストレス自己診断、およびストレスコーピング調査結果を個人別にフィードバックし、保育園園長には、全体の傾向をフィードバックした。次年度も引き続き、保育者の生理、生化学的ストレス測定を行い、第1回目の結果と比較検討し、年4回の測定を目指す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、コロナ禍による出張制限等で、計画通りに測定できなかったが、127名の保育者(山口県と大阪府)を対象に調査、測定できたため、おおむね順調に進展していると評価した。本来ならば、山口県、大阪府だけでなく東京都や栃木県にある保育園の保育者を対象に調査、測定し、地域差も検討する予定であった。しかし、コロナ禍による出張制限で、関東エリアの保育園の保育者を対象に調査、測定することはできなかった。そのため、大学の近くにある近隣の保育園に協力依頼し、大阪府で3つの保育園の保育者の調査、測定ができ、山口県の保育園を含め全体で127名の保育者のデータが得られたことは、今後の研究を進展させるために大変意義深いと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究計画では、すでに内諾を得ていた東京都、大阪府、栃木県、および山口県の保育園、幼稚園の保育者を対象に調査、測定することを予定していた。しかし、コロナ禍の影響による緊急事態宣言下にあった東京都と栃木県へ行って調査、測定することが困難となったため、大学の近くにある近隣の保育園に依頼することにした。今後コロナ禍の状態がどう変化していくのかは予想できないため、本研究は、上述の4つの保育園の保育者のみを対象に研究を進めていくことにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
周知のように、研究開始と同時に、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発出され、移動を伴う測定が困難となり、測定に必要な消耗品支出が少なかった。また、本研究に関連する学会も、2020年度は、オンライン開催や中止となった学会もあり、旅費の使用がほとんどなかった。2021年度のコロナ禍の状態にもよるが、次年度はできるだけ地方への測定を充実させ、学会発表も積極的に発表していく予定である。
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