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2022 年度 実施状況報告書

子どものヘルスリテラシー(健康リテラシー)とQOL(EQ-5D-Y)の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K02658
研究機関大東文化大学

研究代表者

杉森 裕樹  大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20276554)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードヘルスリテラシー / 子ども / EQ5DーY / HLSAC
研究実績の概要

本研究では、PaakkariらのHLSACを翻訳し、日本語版の子どものヘルスリテラシー評価ツールを開発することを目的とする。子ども(学童期、青年期)のライフステージは、健康的な発育や成人期を通した個人の健康や幸福に、極めて重要なターゲットとなる年代である。しかしながら、子どものヘルスリテラシー(健康リテラシー)については、その公衆衛生学的な重要性にもかかわらず、国際的にも未だ学術的な概念モデルとその評価法のコンセンサスが得られていない。この評価ツールと、すでに確立されている心血管疾患(CVD)のリスクファクターの知識(機能的ヘルスリテラシー)と子ども用QOL尺度であるEQ-5D-Y日本語版との相関性を検討し、ツールの妥当性を検証する。この領域における研究の基礎的学術課題の端緒を開くことを目的とするものである。
一方で、初年度(2020-2022年度)からコロナ禍のため、研究自体が遂行し得ない状況となってしまった。オンラインをはじめとする教育サービスの一からの再検討を強いられ、どうしても研究に割ける時間が乏しい状況が続いた。医療機関におけるクラスター発生が数多く報告されており、医療体制の崩壊が危惧されている首都圏(一都三県)で複数回の緊急事態宣言が発出され、遠方への出張制限の要請や3密を避けることなどによる感染蔓延防止が第一義となり、本来不可欠な研究協力者との打合せや対面によるインタビュー調査を中断せざるを得ない年度が続いた。リモート会議は複数回開催し、京都大学エコチルセンター所長(中山健夫教授)や、子どもを対象とした質問票の作成とその妥当性の検証(神奈川県立保健福祉大 城川美佳准教授)については進めている。また、EQ-5D-Y日本語版の対象年齢の拡大の可否も、開発者の一人(横浜市大 五十嵐中准教授)再現性や妥当性の検討などを進めている状況である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

HLSAC日本語版の再現性や妥当性の検討などは中学生がいる母親100名を対象に2020年度にweb調査を施行した。(114名の中学生:男子60名 女子54名/1年43名 2年32名 3年39名)解析結果として、HLSAC:Validity(GFI:0.804 CFI:0.727 RMSEA:0.181)、Reliability (Theoretical Knowledge: Cronbachα0.75 Practical Knowledge α=0.44, Critical Thinking α0.73, Self awareness α0.70, Citizenship α0.52, HLSAC TOTAL α0.83)であった。HLSACを本対象者とPaakari,Oの先行論文と比較すると、中1男子のHL:27.71点(Original:31.90)、中3男子のHL:29.41点(32.39点)、中1女子のHL:28.79点(32.51点)中学3年女子のHL:30.55点(33.32点)、全体
29.09点(32.55)であり、全体的にHL点数が低い。EQ-5D-Yでは①Mobility(No problem/Some problem/A lot of problem : (96.4%/9.6%/0%)②Looking after myself (100%/0%/0%) ③Doing usual activities (92.1%/7.0%/0%) ④Having pain or discomfort (76.3%/22.8%/0.9%) ⑤Feeling worried, sad or unhappy(65.8%/33.3%/0.9%)であった。
コロナの為、対面調査がかなわず、今日に至っている。今年度は最終年度であり、可能な手段でデータ収集及び解析を進める予定である。

今後の研究の推進方策

2020-2021年度に中断せざるを得なかった、本格的な調査を今年度も試みる。対面によるインタビュー調査や会場を限定した調査票配付による調査は、コロナ禍においてはリスクがあり諦め、郵送法による自記式調査票の配付や、インターネット調査会社を使った調査方法に切り替えを検討中である。なるべく早めに研究計画の遅れを取り戻すとともに、新しい手法(インターネット調査母集団など)による調査結果の偏りなどの評価も同時に行う。なお、一部再開された、京都大学エコチルセンターなどでは、少人数の母親のインタビューによる背景調査も検討中である。

次年度使用額が生じた理由

初年度(2020-2022年度)からコロナ禍のため、研究自体が遂行し得ない状況となってしまった。オンラインをはじめとする教育サービスの一からの再検討を強いられ、どうしても研究に割ける時間が乏しい状況が続いた。医療機関におけるクラスター発生が数多く報告されており、医療体制の崩壊が危惧されている首都圏(一都三県)で複数回の緊急事態宣言が発出され、遠方への出張制限の要請や3密を避けることなどによる感染蔓延防止が第一義となり、本来不可欠な研究協力者との打合せや対面によるインタビュー調査を中断せざるを得ない年度が続いた。延長願いが受理されたため2023年度を最終年度とした調査研究を行う予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Five cluster classifications of long COVID and their background factors: A cross-sectional study in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Tsuchida Tomoya、Yoshimura Naohito、Ishizuka Kosuke、Katayama Kohta、Inoue Yoko、Hirose Masanori、Nakagama Yu、Kido Yasutoshi、Sugimori Hiroki、Matsuda Takahide、Ohira Yoshiyuki
    • 雑誌名

      Clinical and Experimental Medicine

      巻: 23 ページ: 3663~3670

    • DOI

      10.1007/s10238-023-01057-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 総論:リスクコミュニケーションとヘルスリテラシーの関係2023

    • 著者名/発表者名
      杉森 裕樹、王 麗華、伊藤 直子、栗田順子、鈴木 桂子、町田 美千代、二野屏 美佳、古屋 龍規
    • 雑誌名

      調剤と情報

      巻: 29 ページ: 680-686

  • [雑誌論文] Health state utilities of patients with hepatitis B and C and hepatitis-related conditions in Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Sugimori, Maki Hirao, Ataru Igarashi, Hiroshi Yatsuhashi, Shunya Ikeda, Naohiko Masaki, Hiroshi Yotsuyanagi Takeshi Yoda, Takeshi Odajima, Tomoyuki Takura, Tomohiro Hirao
    • 雑誌名

      Sci Rep .

      巻: 12 ページ: 17139

    • DOI

      10.1038/s41598-022-21470-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Working conditions contribute to fertility-related quality of life: a cross-sectional study in Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Eri Maeda, Osamu Hiraike, Hiroki Sugimori, Asako Kinoshita, Maki Hirao, Kyoko Nomura, Yutaka Osuga
    • 雑誌名

      Reprod Biomed Online

      巻: 45 ページ: 1285-1295

    • DOI

      10.1016/j.rbmo.2022.07.006

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] 調剤と情報 2023年04月号 (特集:リスクコミュニケーションとヘルスリテラシー)2023

    • 著者名/発表者名
      杉森裕樹
    • 総ページ数
      148
    • 出版者
      じほう

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公開日: 2023-12-25  

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