研究課題/領域番号 |
20K02665
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
渡邊 由恵 九州産業大学, 人間科学部, 講師 (40739760)
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研究分担者 |
阿部 敬信 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (90580613)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遊びの構造 / 質の高い遊び / 統計モデリング / 数量的評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、幼児教育における指導のプロセスを数量的に評価できる方法を開発していくことである。つまり、保育者の指導プロセスにおいて、子どもの遊びが豊かな学び合いのある遊びとなっているかを数量的に評価していく方法の開発である。 研究初年度となる令和2年度は、幼児教育現場での子どもの自由遊び場面を撮影する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大により、撮影依頼が困難な状況であったため、代表者がこれまで撮影していた子どもの自由遊び場面の映像を編集し、ビデオクリップを作成した。令和2年12月、動画視聴を伴う質問紙調査の承諾が得られたため、2ヶ所の幼稚園計15名の幼稚園教諭に調査を実施した。目的は、保育者が質の高い遊びというキーワードを提示された時に、子どもが遊んでいる姿をどのように捉えているのかを明らかにすることである。遊びの質をとらえる視点が明らかとなれば、幼児教育の質を規定するであろう遊びの評価や幼児教育における子どもの遊びの構造を捉えることができると考えられる。今年度の調査は、その予備調査という位置づけである。 予備調査で得られたデータに時系列を表すタグを付加した上でKHCorderを用いて、共起ネットワーク分析及び対応分析をした結果、保育者が子どもの遊びの質を見る時に、子どもの遊びの「対象」と遊びの主体である個々の子どもの「対象への関わり方」とその対象に関わっている「子ども同士の関係性」という視点を持っていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定では年間を通して予備調査用ビデオクリップの撮影・編集を行う予定であったが、研究年度初年次前半に研究年度初年次以前に収集した幼児の遊び場面の映像を使用してビデオクリップを作成した。なお、本映像の予備調査への使用にあたっては、対象とした幼稚園の本予備調査の調査目的での使用許諾を得ている。その結果、年度後半に研究2年目に実施予定であった保育者への動画視聴を伴う質問紙調査を2園・15名の保育者に実施し、得られたデータの分析を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、本年度の予備調査で得られた結果に基づき、本調査用の映像・質問紙調査内容の検討を行い、本調査を実施する。予備調査の結果から、さらに分析を進める。この分析により、時系列解析の状態空間モデルの考え方を用いて、3つの確率密度関数を3つの視点ごとに得られると想定している。これが評価項目と指標抽出となる。令和4年度は、抽出された評価項目と指標を用いて、保育者に、先に用いた遊びの場面とは別の遊びの場面を観察してもらい評価をしてもらい、その信頼性と妥当性について統計的な検証を行うとともに、階層ベイズ推計や共分散構造分析などを用いた統計モデリングによって「質の高い遊び」モデルを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)新型コロナウイルス感染拡大に伴い学会、データ収集等の出張にかかわる経費の支出がなかったため、予算残となった。 (使用計画)遠隔調査のためのネットワーク環境の構築にかかわる経費、研究協力者への謝金に使用する予定である。
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