研究課題/領域番号 |
20K02677
|
研究機関 | 九州女子大学 |
研究代表者 |
佐久間 治 九州女子大学, 家政学部, 教授 (80251627)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | こども環境 / こどもにやさしいまち / Child Friedly Cities / CFUD / 都市評価 |
研究実績の概要 |
本研究は、『こどもにやさしいまち』(Child Friedly Cities:以下CFC)あるいは、『こどもにやさしい都市デザイン』(Child Friedly Urban Design:以下CFUD)という都市政策概念が、こどもたちの成育環境の向上を図るまちづくりの上で重要なテーマでありながら、実際には、取組むべき政策内容がやや抽象的で対象分野も多岐に渡るため、具体的な都市施策、都市デザイン施策として十分に推進されにくい現状を課題と捉えている。 よって、CFCをより具体的な都市政策として進めるために、どのような都市政策、都市デザイン施策として進めることが目標であるかを明らかにすることと、それらを推進していくために必要となる具体的な分野、領域、指標、そして評価方法について考察することを目的としている。 そして、以上のような一連の考察から分析した指標や評価方法により都市を比較分析する可能性も検討していき、今後のCFC、CFUDの議論を更に深めていくための基礎資料を提供していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究は調査が主体で、海外を含む行政関係者や実際にこどもにやさしいまちづくりのために活動している有識者との意見交換や、海外を主体とした都市視察調査を予定していた が、コロナ禍の社会状況で、海外渡航、国内移動も制限が多かったことと、ヒヤリング対象の行政関係者はコロナの対応に追われて、研究業務への協力が現在は難しい状況であったため、予定通りに研究が推進できていない状況である。また、本研究では、こどもやさしいまち推進の概念を、こどもたちが成育環境で多様な体験を室内外で行うこと、そして、その活動のための場所に、こどもたちが大人の力を借りずにこどもたち自身で移動できることを前提しているが、コロナ禍でこどもたちを取り巻く社会環境が激変しており、室内で家族のみでの社会から断絶されぎみの生活を強いられていることや、保護者の同伴なしには活動できない場所も増えてしまっており、このこどもにやさしいまち、環境、空間の既往の概念を見直すことも必要となっているように思わえ、研究が思うように推進できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年は我国で「こども家庭庁」が発足し、少子化対策、子育て支援、保育や教育環境の質の向上などを、省庁を超えて総合的に支援していく体制と施策が打ち出されたこともあり、今後、こども環境の改善や、こどもにやさしいまちづくりが、国にとって大切な課題となりつつある中、本研究がそれらを更に推進するために一助となるように努力していく所存である。また、今年5月には新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行が実施されたため、前年度と異なり今後は行政を中心とした有識者へのヒヤリング調査も可能となると思われる。ただし、当初計画のような2年をかけての海外も含む調査計画を大幅に見直して文献調査によるCFC、CFCI、CFUDの調査研究を実施してきているので、今年度は、今まで蓄積してきたCFC、CFCI、CFUDの指標や評価の方法について、考察、再整理し、いくつかのCFCに力をいれて都市政策を推進している都市に対して、ヒヤリングを行って、今後推奨すべきCFC指標を絞り込むと共に、欧州を中心に実践的に研究されてきたCFUDの既往研究や事例調査を通して、こどもの都市環境づくりとしての視点、政策要素についても調査し、それらを総合的にまとめていく分析を行いたい。 時間的には厳しい状況であり、更なる研究期間の延長が可能かは定かでないが、できれば、今後、2年間をかけてまとめていく計画である(延長が困難な場合に備えて、単年でのまとめ方についても検討しておく)。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究の当初計画では、行政関係者や有識者との意見交換や、海外を主体とした都市視察調査を予定していたがが、コロナ禍の社会状況で、海外渡航、国内移動も制限が多かったため、当初予算どおりに研究が進まず、研究の延長申請をしたため、同時に予算も繰り越した。今後は、文献資料収集、ヒヤリング調査や先進事例調査における交通費や経費、有識者への謝金および研究のまとめのためのソフトや機器,意見交換を行う学会費等に使用する計画である。
|