研究課題/領域番号 |
20K02681
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
腰川 一惠 聖徳大学, 教職研究科, 教授 (70406742)
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研究分担者 |
太田 繁 聖徳大学, 教職研究科, 教授 (20233124)
原田 正平 聖徳大学, 児童学部, 教授 (70392503)
初鹿 静江 聖徳大学, 児童学部, 准教授 (80449074)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 子どもの年齢による傷害予防の取り組み / 保育者同士の情報共有 / 保育の工夫による傷害予防 / 組織的な傷害事例の共有 / 保育者の傷害予防の意識づけ |
研究実績の概要 |
本研究は、教育・保育施設の保育者の傷害予防の認識や実践に着目し、保育者の実践を活かした多面的評価チェックリストの開発とその活用を目指した実証的研究を行うことを目的としている。令和2年度は、多面的評価チェックリストを開発に向けて、保育者を対象としたインタビュー調査を行い、子どもの傷害予防に対する保育者の実践を収集することを目的とした。 保育所6か所、幼稚園3か所における0歳児から6歳児の担任27名、管理職9名を対象としてインタビュ―調査を行った。インタビューは、保育者1名につき、約30分程度行い、インタビュー内容は録音された。録音されたインタビュー内容については、逐語録を作成した。 保育所、幼稚園において子どもの年齢、発達に応じて環境の整備や子どもへの働きかけといった傷害予防の取り組みを行っていることが明らかになった。保育者は、年齢に応じた傷害予防を行いながら、個々の子どもについての特徴を把握して、傷害がおきそうな予測をしていることも聞き取った。複数のクラス担任がいる場合は、保育中に保育者同士の子どもに関する情報共有を行うことで傷害予防につなげていた。傷害予防を主としていないが、クラスでの運動遊びを継続して実践する、保育における動線を考えることにより、子どもが前方を注意し、身をこなすことができるようになっていると認識していた。また、教育・保育施設による組織的な取り組み、例えば保育者全体で起こった傷害事例を共有すること、障害が起きそうな環境を改善すること、チェックリストを作成し、保育者による環境の確認を習慣にすること等により、保育者の継続した傷害予防の意識づけを行っていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度4月から6月までは、コロナ禍により保育所、幼稚園に外部の人間が立ち入ることができなかった。6月以降も在籍幼児の対応のため、インタビュー調査を行うことが困難であった。10月以降に受け入れ可能となった保育所、幼稚園に順次インタビュー調査が実施され、令和3年2月までにすべての保育所、幼稚園でのインタビューが終了したが、令和2年度内でのインタビュー内容の分析の時間は、十分とれなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度のインタビュー内容の分析を行い、保育者の傷害予防の認識や実践を抽出し、担当する子どもの年齢、3歳以上は保育所と幼稚園において比較を行う。この内容については、論文投稿および次年度の小児保健協会学術集会において発表を予定している。 さらに抽出した傷害予防の実践について子どもの年齢ごとに整理し、チェックリストを作成する予定である。また、保育者を対象として、チェックリスト項目の作成に向けたアンケート調査を実施し、内容の妥当性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度はコロナ禍により半年間は、インタビュー調査を実施することができずに交通費が使用されなかった。インタビュー調査についてはその後実施したが、保育所施設は外部者を入れることを断られ、オンライン調査となった。そのため、保育所への交通費等の助成金を使用しなかった。学会発表もオンラインとなり、学会への旅費等も使用することがなかった。以上のことから助成金を計画した内容と同じように使用できずに次年度使用額が生じた。 令和3年度は、前年度に予定していたインタビュー内容の分析および学会発表申し込みに関する費用に助成金を使用する。また、チェックリスト作成に向けた保育者への調査を予定しており、郵送代、分析におけるアルバイト等で助成金を使用する予定である。
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