令和2年度は、てんかん、熱性けいれんのある乳幼児における保育所通園、保護者就業について、国内の主要な乳幼児期発症薬剤抵抗性てんかんの患者家族会である、ドラベ症候群患者家族会並びにウエスト症候群患者家族会に所属する患児及びその保護者を対象として予備調査を実施し、併せて調査内容の妥当性の検討、課題点の抽出を行い、計155名の薬剤抵抗性てんかん児より有効回答が得られた。 令和3年度は、全国の小児神経専門医の所属する医療機関に通院中または入院中のてんかん、熱性けいれんの患児及びその保護者を対象として本調査を実施し、てんかん児217名、熱性けいれん児90名の計307名より有効回答が得られた。 令和4年度は、両調査より得られた、薬剤抵抗性てんかん、全てんかん、熱性けいれんの3群について比較検討した。その結果、障害児(特別)保育枠は29.1%、10.1%、0.0%、要加配は60.0%、35.2%、10.3%、入通園制限は71.0%、37.5%、10.3%、また、母親の就業への影響は33.3%、18.8%、9.6%、希望通りの就業の困難は49.0%、20.6%、6.6%と、重度のてんかんであるほど障害児(特別)保育枠、加配の利用、入通園制限、母親の就業への影響、困難を高率に認め、他方、熱性けいれんにおいても低率ながら認めた。 これらの結果から、保育・教育機関等におけるてんかん児、熱性けいれん児の発作・生活管理の指針の策定が必須と考え、日本小児神経学会医療安全委員会においても「保育・療育・教育機関におけるけいれん・てんかん児の発作・生活管理ワーキンググループ」を発足させ、今後は「発作対応フローチャート」や「学校生活管理指導表」等を作成していく計画とした。
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