研究課題/領域番号 |
20K02684
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
後藤田 宏也 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (20307870)
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研究分担者 |
大江 靖雄 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (60302535)
坂下 玲子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (40221999)
葛西 一貴 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (30169396)
伊藤 孝訓 日本大学, 松戸歯学部, 特任教授 (50176343)
大沢 聖子 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (00152108)
小堀 真 青山学院大学, 地球社会共生学部, 准教授 (00421149)
祓川 摩有 聖徳大学, 児童学部, 准教授 (70710200)
菊地 一晴 聖徳大学, 児童学部, 講師 (50847027)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 食育 / 教育学 / 母子保健 / コンビテンシー基盤型教育 / 地域包括 / ICT(情報通信技術) / 保育 / 多職種連携 |
研究実績の概要 |
近年改訂された「認定こども園教育・保育要領,保育所保育指針の新要領・指針」では「食育の推進」に関する記載が大きく追加・修正された。その新要領・指針ではまた3歳未満からの教育を重視,職員研修による保育の専門職(プロフェッショナル)として専門性の向上が謳われ,今後はより一層の保育の質の確保が重要である。また母子保健サービスの中核を担う乳幼児健診は疾病のスクリーニングだけでなく,地域包括・多職種が連携して親子への支援を担うようになってきた。しかし未就園児が多い3歳未満では妊産婦健診から乳幼児健診までの親子支援は断片的であり,不充分である。本研究は食育を通してすべての乳幼児が健やかに育つために系統的・継続的母子保健支援と保育の質の保障と向上を目的として,対面式の支援とICT(情報通信技術)支援を組み合わせた地域包括,多職種連携による保育・教育支援システムの開発と構築を検討する。本研究を遂行するうえでは既にある研究組織と今まで行ってきた研究の継続と発展を中心として進めていくが,研究の内容は人との接触がかなり大きなウエートを占めている。研究初年度である令和2年度は新型コロナ禍において研究に関わる実施予定であった調査や食育の行事等が中止となった。よって当年度は、今後の研究の進捗を踏まえてこれまでの進めてきた研究データの整理,まとめおよび論文作成を行いながら新型コロナ禍の状態を考慮しながら研究方法と内容について再構築した。また令和3年度の夏にはモデル自治体での食育に関する市民アンケート調査が実施予定であり,その調査内容についての設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では最新の全国実態調査・分析と地域の多機関,多職種が連携・参加している自治体の食育推進組織を研究基盤にすることに独自性があり,人との関わりや対面接触等が欠かせない研究である。また保育教育・研修に特化した地域包括・多職種連携によるコンビテンシー基盤型教育,系統的・継続的母子保健および未就園児への支援を重視した経済的,時間的および地域的な制約等に対応したICTの活用支援システムを構築することにより全ての親子に必要な支援と質の保障ができる今後の母子保健の向上と保育教育支援へ貢献することを目的としている。そして保育の分野では保育教育・研修に特化した地域包括・多職種連携によるコンビテンシー基盤型教育(専門職業人が成長段階に対応した業務を行う能力の育成と知識,技術,態度の統合に加えて倫理観の修得を目的とした教育)の開発を行い,食育を通したすべての乳幼児の健全な育成を目標として,次のような研究項目と手順で研究を計画している。現状(実態)調査・分析,母子保健システム構築,教職員への研修プログラムの開発,未通園児支援プログラムの開発により地域包括・多職種連携の支援・教育システムの構築と提案を行うことである。これに基づき令和2年度の研究計画では現状調査分析,各地域(自治体)の最新の食育推進施策,乳幼児の母子保健サービスおよび保育教育支援の実態調査を実施する予定であった。しかし新型コロナの感染が収まることを想定して夏以降の研究活動の設定をしていたが,計画の遂行時に非常事態宣言や感染防止対策等により人との関わることが主な本研究が全く進まなかった。よって令和2年度はこれまでの進めてきた本研究に関わる研究データの整理、まとめおよび論文作成を行い,新型コロナ禍の状態を考慮しながら今後の研究方法と内容について再構築したために現在までの進捗状況に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後実施予定の全国調査の内容は,各自治体の食育推進施策(母子保健事業を含む)と保育に関わる情報収集後整理分析を行う計画である。保育領域では「認定こども園教育・保育要項,保育所保育指針および幼稚園教育の新要領・指針」の共通部分と相違をふまえ,母子保健領域では「健やか親子21(第二次)」から抽出した内容および現在の試案段階の項目を調査内容として設定している。母子保健システム構築については妊娠期から乳幼児健診・健康相談・保健指導等を通じて乳幼児のライフステージ別の系統的,継続的な親子支援システムの構築(切れ目のない支援:フォローアップと支援システム,アプリの開発と提供)と自治体が実施する定期健診や健康相談等ごとに対面式の支援と年代別の親子支援アプリを提供を想定している。教職員への研修プログラムの開発では保育園および幼稚園等の教職員(教員,保育士,看護師,栄養士等)へのコンピテンシー基盤型教育プログラム開発(e-ラーニング教育と対面教育プログラムの開発)を行う予定である。しかし新型コロナ禍で感染拡大が続く場合には,感染防止のための非接触型等の調査(全国調査の内容は,各自治体の食育推進施策と保育に関わる研修内容はWeb上で情報公開されていることが多く,情報収集後整理分析を行う)およびさらに申請時には想定していなかった新型コロナ禍での新たな食育支援や教育について検討する。また令和3年夏に実施される食育に関わる市民アンケート調査の実施とその分析を行う計画であるが,当初の計画どおり研究が進捗しない時の対応については,研究の質の担保を常に検討しながら,実施規模等を適正に修正することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の初年度実施予定だった全国調査の内容は,全国の各自治体の食育推進施策(母子保健事業を含む)と保育に関わる研修内容について情報収集後整理分析を行うことが主で、そのために全国調査などにかかる旅費に50万円を計上していた。しかし令和2年度は新型コロナ禍の影響により全国調査が実施できなかったため,次年度使用額が生じた。令和3年度では継続して全国調査等に関わる旅費に充てる予定であるが,新型コロナ禍の感染拡大が続く場合には研究の質の担保を常に考慮しながら,使用額の内容の適正使用のために再検討を行うことを計画している。
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