今回の研究は、保育史研究の中で遅れが著しい運動史において、その研究成果の蓄積が最も乏しい戦後初期の保育運動を本格的に行っていくための試論となった。特に、占領軍(GHQ)による民主化の指導のもと、各種運動が花開いた時代状況において、官側ではなく民間側からどのような保育構想が出されていたのかを描き、その歴史的特質(意義と限界)を問いたいと考え、「民保」による運動へと着目した。 本稿では、そうした問題意識に基づき、「民保」に関する先行研究の到達点を確認するとともに、それらを乗り越えるための課題と方法を提示することができた。そして、その作業は、戦後初期の保育に関する研究上の礎石を築くことになろう。
|