研究課題/領域番号 |
20K02687
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研究機関 | 静岡産業大学 |
研究代表者 |
佐藤 寛子 静岡産業大学, 経営学部(磐田), 教授 (10823700)
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研究分担者 |
中井 真吾 静岡産業大学, スポーツ科学部, 准教授 (30795381)
吉田 茂 別府溝部学園短期大学, 教育学部, 特任教授 (60829349) [辞退]
島田 達生 大分大学, 医学部, 客員研究員 (80080555)
坂本 智則 大分大学, 医学部, 助教 (40894514)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 母指中手指節関節 / 過伸展 / ハサミ / 援助 / 造形活動 / 造形あそび / 造形表現 / 発育発達 |
研究実績の概要 |
幼児の母指MP関節過伸展の実態調査が2024年3月で終了した。母指MP関節の伸展角度について個人差はあるが、60度を超えるケースは見当たらなかった。ハサミ操作では低年齢ほど過伸展位をとるケースが見られたが、手指運動を繰り返す中で、ほとんどの幼児が独力で過伸展位をとらないハサミ操作を獲得していくことがわかった。母指MP関節伸展角度が過伸展(10度超)であってもハサミ操作時には過伸展をとらない操作方法を獲得していた。一方、就学前においても、ハサミ操作時に過伸展位をとる幼児も見られたため、援助方法を検討、検証した。母指MP関節過伸展への負荷に対して、手掌にボール状のものを握らせると、ハサミ操作における過伸展は改善されることがわかった。2024年度はこれまでのデータを分析し、現状と課題をまとめる。 母指MP関節の解剖学的検討については、幼児サルの試料を用い、光学顕微鏡と走査電子顕微鏡による微細画像の検索をおこなった。母指MP関節の安定化に関与する掌側板を中心に検討した。掌側板は軟骨板と膜様部からなり、さらに軟骨板は軟骨部と線維部からなる。成人を対象とした先行研究では、軟骨板は線維成分との報告があるが、幼児サルでは硝子軟骨成分であった。軟骨板線維部と膜様部には、膠原線維と弾性線維が含まれることが確認された。膠原線維は軟骨板軟骨部周辺で豊富であり、挿し込むように軟骨板へ侵入していた。また膠原線維は複雑な配列と、比較的直線的な配列が観察された。膜様部への接続部と長母指屈筋腱鞘への接続部では密な籠織状(E H Williams et al.,1998)の複雑な配列であった。Zancolliの「force nucleus(力核)」(合流部)は特に強靭な線維構築を示した。母指MP関節は顆状関節であり多方向の運動に対応するため、全体的に各線維の走行が不規則に構築されている(Takakoshi et al.,1995)との報告と一致した。
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