令和4年度も新型コロナウイルス感染症の影響もあり,予定していた調査が中止・延期が余儀なくされたが,令和5年3月までにほぼ予定していたデータを収集することができた。 運動遊びの実態調査では,年齢構成が異なる2つの極小規模保育所でおこなった。A保育所では,4歳児3名,5歳児2名が対象であった。遊びでは4,5歳男児1名ずつ,4歳女児2名,5歳女児1名の3つに分かれて遊ぶことが多かった。しかし,近くにいる4歳児と5歳児の男児2名が異なる遊びをしているなど,一人一人が自分の好きな遊びをすることが多く見受けられた。一方,B保育所は,5歳児男女1名ずつで,4歳児,3歳児は在籍していなかった。5歳児2名の遊びでは,縄跳びやカードゲーム等を保育士と一緒に遊ぶことが多く見られた。その中で,保育士は遊びを紹介して一緒に遊び,遊びを広げるように促がしている様子も見られていた。 この調査後,2つの保育所で,エアサンドバックをとバランスボールを使った遊びを展開し,先述した調査で見られなかった動きの発現を目指した。エアサンドバックは,遊技場に3~4本無作為に設置し,幼児には自由に移させることができること,たたいたり蹴ったりしてもよい旨を伝えた。それを受け幼児は,遊技場を移動する際,わざとにぶつかったり揺らしたエアサンドバックをよけたりしながら遊ぶようになった。また,直径約65cmのバランスボールを転がし,ボールに当たらないように逃げる「転がしドッジボール」でも,転がってくるボールに正対してボールをよけたりかわしたりする動きが見られるようになった。 このように,極小規模保育所においても,遊具の活用等環境設定の工夫によって,一人遊びでも多様な動きの発現が可能であることが示唆された。
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