研究課題/領域番号 |
20K02704
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
坂本 達昭 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (80710425)
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研究分担者 |
細田 耕平 仁愛大学, 人間生活学部, 講師 (60734803)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自己肯定感 / セルフエスティーム / 家族 / コミュニケーション / 食事 / 調理 / 非対面式 / 小学生 |
研究実績の概要 |
2021年度は,自己肯定感を高めることをねらいとした非対面式による調理プログラムの効果を明らかにすることを目的として研究を進めた。 研究デザインは,小学校単位の準実験デザインである。介入は2021年7月31日から9月4日に,週1回の頻度で全5回実施した。介入群(24名)に対しては,参加者に調理動画の配信と食材提供,取り組みに対するフィードバックを行った。対照群(29名)は,食材と紙のレシピのみ提供した。プロセス評価は,各回終了時にプログラムの難易度,次回の参加意欲等をたずねた。プログラムの効果はプログラム前後自己肯定感の変化,家族から褒められる頻度を評価した。自己肯定感の評価は,先行研究により信頼性と妥当性が確認された尺度(得点範囲 8~32点)を用いた。 プログラム後のアンケート結果が得られなかった1名(介入群)と参加回数が少なかった1名(対照群)は解析から除外し,介入群23名と対照群28名を解析対象とした。プロセス評価の結果は,概ね良好であった。介入の結果自己肯定感の中央値(25,75,パーセンタイル)は,介入群ではプログラム参加前23.0(21.0,25.0)からプログラム参加後25.0(20.0,28.0)にかけて有意に上昇し(P=0.022),両群の変化量も有意な差が認められた(P=0.022)。家族から褒められる頻度については,介入群のみ有意に増加した。 本プログラムは調理の経験を通じ,家族の良好なコミュニケーションを促し,自己肯定感を高める可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時は,参加者を集めて調理や会食を行う対面式のプログラムを想定していたが,一昨年からのCOVID-19の感染拡大により,非対面式の内容に変更した。 実施方法こそ,当初の予定からは変更したものの,研究は,概ね計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルス感染症の拡大により対面型の食事支援プログラムの実施が困難となっため,高学年児童(小学校4~6年生)を対象に,自宅で調理動画を視聴し,調理を行う非対面型のプログラムを試行した。研究結果から当プログラムは,調理経験を通じて,家族の良好なコミュニケーションを促し,参加者の自己肯定感を高める可能性が示唆された。 今年度,新たに実施する研究では,プログラムの汎用性を高めるために対象学年を拡大する。具体的には,これまでは高学年児童(小学校4~6年生)を対象としてきたが,安全性に配慮したうえで小学校2~3年生を対象にプログラムを実施し,その有用性を評価する。参加者の調理に対する自信と自己肯定感,食べ物の嗜好(好き嫌い)がどのように変化するかを,食材提供のみを行う対照群と比較して評価することを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,学会発表などの旅費を計上していたが,学会がWEB開催になり旅費の支出が少なかったため。また,福井県での研究実施を予定していたが,COVID19の状況を鑑みて,熊本県のみで実施ししたため,次年度使用額が生じた。
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