研究課題/領域番号 |
20K02705
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研究機関 | 三育学院大学 |
研究代表者 |
松崎 敦子 三育学院大学, 看護学部, 准教授 (40792297)
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研究分担者 |
出口 貴美子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (50227542)
西田 佳史 東京工業大学, 工学院, 教授 (60357712)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 早期発達支援 / 自閉スペクトラム症 / オンライン教材 / 保護者トレーニング / 看護師 |
研究実績の概要 |
本研究では、自閉スペクトラム症(ASD)が疑われる子どもの保護者に、生後10ヶ月から実施できる保護者トレーニングプログラムを適用し、その効果を客観的に検証する。研究参加者数は統制群も含めて60名を予定しており、2021年度は23組の親子が生後10ヶ月時の事前評価に参加した。 事前評価では、健診によってASD疑い群または定型発達群(TD)に分けられた子どもの発達の差と、母親の育児ストレスの差を比較した。方法は、健診に参加した子どもを小児科医が診察し、開排制限、筋緊張、アイコンタクトの有無、易刺激性等から、ASD疑い群とTD群に分けた。研究参加に同意した保護者に、KIDS乳幼児発達スケール、PSI-SF育児ストレスインデックスショートフォーム、子育てに関する質問紙への記入を依頼し、心理士がVineland-IIを実施した。その結果、KIDSの発達指数では、全ての項目においてTD群の平均値がASD疑い群の平均値を上回り、対成人社会性および総合発達指数は有意な差が示された(対成人社会性:ASD疑い群91.4、TD群108;総合発達指数:ASD疑い群97.1、TD群114)。Vineland-IIの標準得点においても、全ての項目においてTD群の平均値がASD疑い群の平均値を上回った。しかしながら、PSI-SFにおける母親の育児ストレスはTD群の方が高く、また子育てに関する質問紙においては明らかな差は示されなかった。 この結果から、生後10ヶ月時点でASD疑い群はTD群と比べて発達の遅れがあることが示された。しかしながら母親はその遅れに気づいておらず、発達障害児の親に特徴的な育児ストレスも感じていない。そのため、発達の早期から専門家が関わることの重要性が示唆された。また、本研究で使用した診察項目は、ASDのスクリーニングに有効である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の影響により、2020年度に、実施場所の物理的・人的準備、及び介入・評価が行えなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響を鑑み、当初予定していた行動的指標による評価は行わず、標準化検査(心理学的指標)および視線計測装置を用いた視線運動(生理学的指標)を用いて支援の効果を検討していく。2021年度は、参加者のリクルート及びデータ分析が順調に進んだが、2020年度分の遅れを取り戻すには至っていない。申請通りの研究を遂行するため、1年間の期間延長を申請する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度のCOVID-19の影響により当初の計画が1年ずつ遅れており、今年度も次年度使用額が生じた。2022年度は引き続きリクルート、介入者トレーニング、介入効果の検討を実施し、適宜学会で発表していく。そのため、検査用紙等を購入し、学生アルバイト・保護者・実施者に謝礼を支払う予定である。また質問紙郵送費用、出張費用、学会参加費等の支出を計画している。
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