研究課題/領域番号 |
20K02706
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
保坂 遊 東京家政大学, 子ども学部, 教授 (90423996)
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研究分担者 |
宮島 祐 東京家政大学, 子ども学部, 教授 (10246308)
杉本 英晴 駿河台大学, 心理学部, 准教授 (20548242)
澤田 めぐみ 東京家政大学, 家政学部, 教授 (30291339)
音山 若穂 群馬大学, 大学院教育学研究科, 教授 (40331300)
冨田 知里 東京家政大学, 家政学部, 期限付助教 (60827385)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳内ネットワーク / 美術表現活動 / 発達支援プログラム / fNIRS |
研究実績の概要 |
2021年度は,2020年度末に実施したfNIRSを用いた計測結果の分析を中心に行った。様々な視覚刺激と絵画制作技法を課題とし,大脳皮質(前頭前野)の脳血流の増減について,機能的近赤外分光分析器(fNIRS)を用いて経時的変化を記録し,検証した。各課題における前頭前野の各部位Chの全平均値に対する一元配置分散分析から,A.視覚刺激では「単語提示による刺激」のOxy-Hb濃度の平均値が「詩の提示」や「具象画の提示」,「抽象画の提示」より有意に高い傾向が認められ,視覚刺激はシンプルな課題提示のものが高い結果となった。また,B.絵画制作では,「構成画制作」が「象徴画制作」や「観察画」より有意に高かった。「観察画」と「構成画」における有意差は認められなかった。絵画制作ではより複雑性のある課題にてOxy-Hb濃度が高まる傾向であったが,ドリフトの発生やpost時の血流増加などの要因の検討も指摘されるところである。本実験では個人差が大きく平均値比較だけでは課題があるものの,共通して高まる部位も見られ,今後に向けて示唆を得るものであった。これらの研究結果については,臨床美術学会第12回大会(2021.11)にて研究発表を行い,成果を報告している。 年度後半には,上記実験結果をもとに,さらに被験者を拡大し,一般成人30名を対象としたfNIRS計測を計画した。また計測範囲の拡大を図るため,本学所有のNIRS計測器(島津製ラボニルス)の計測チャンネル増設のためのファイバーを購入した。しかし,実施予定の2021年1月からは,新型コロナウィルス感染者の増加による蔓延防止措置の要請を受け、実験の延期を余儀なくされたため,再計画の上,2022年度に実施する予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度(1年目)の研究より,新型コロナウィルス感染症の蔓延により当初計画より開始が大幅に遅れ,2021年2月~3月にかけての計測実施となった。2021年度(2年目)の前半は,それらの実験結果の分析に時間を要し,年度末に次段階の実験を計画していたものの、2022年1月~3月にかけて、再びコロナ感染者が増加し,蔓延防止措置要請となったため、感染リスク防止の判断より実験の延期を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,前年度に実施延期となった,一般成人30名を対象としたfNIRS計測実験を年度前半に計画,実行予定である。これらの成果をもとに年度内に健常児10名および発達障がい児10名を被験者として、描画制作中の脳活動を計測する。また、これらから得たデータより、発達支援としての様々な子どもの発達や特性を伸長する美術活動および芸術療法の新たなプログラムを開発する。本研究の結果については、年度末までに報告書を作成し、論文、研究発表等にて研究成果を示す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に計画されていた実験が,新型コロナウィルス感染症の蔓延により延期されたため,実験協力者への謝金が未執行である。これらについては,次年度に実験を実施する際に使用する計画となっている。
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