研究課題/領域番号 |
20K02706
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
保坂 遊 東京家政大学, 子ども学部, 教授 (90423996)
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研究分担者 |
宮島 祐 東京家政大学, 子ども学部, 教授 (10246308)
杉本 英晴 駿河台大学, 心理学部, 准教授 (20548242)
澤田 めぐみ 東京家政大学, 家政学部, 教授 (30291339)
音山 若穂 群馬大学, 大学院教育学研究科, 教授 (40331300)
冨田 知里 東京家政大学, 家政学部, 期限付助教 (60827385)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳内ネットワーク / 美術表現活動 / 発達支援プログラム / fNIRS |
研究実績の概要 |
本研究における2022年度の実施状況は、2021年度のパイロット計測による結果を省察した上で、新たなfNIRS計測のための課題を再検討し、2022年8-9月、2023年2月-3月の2期間に分けて実験を実施した。 課題は、1.視覚刺激:a.文章(詩),b.写真(風景),c.絵画(抽象画)と、2.描画制作:a.象徴画(単語からイメージする図像の描画),b.模写(葉っぱの模写),c.抽象画(感情を色面で表現)を課題とし,大脳皮質(前頭前野)の脳血流の増減について,機能的近赤外分光分析器(fNIRS)を用いて42chの経時的変化を検証した。被験者はA.一般健常学生群7名(全員女性/全員右利き)、更にはB.美術教育を専門的に学んだ熟達者群16名(男女比1:15/右利き14:左利き2)とし、美術経験の差が課題実行時の脳血流量に差異を齎すか検証することとした。 各課題ともtask-restを2回繰り返すブロックデザインとし,視覚刺激はtask30秒/rest30秒,描画制作はtask60秒/rest30秒とした。 各課題における課題遂行中のOxy-Hb濃度のインテグラル解析を行った結果,視覚刺激では,課題によってOxy-Hb濃度が上昇する部位に個人差があったが,学生群が美術熟達者群よりもOxy-Hb濃度の上昇が高い傾向が見られた。絵画制作では,それぞれの課題によって,Oxy-Hb濃度の上昇が見られ,被験者間において課題遂行時に賦活する共通の部位が見られた。 各課題のOxy-Hb測定値よりZscoreを算出し,各群間の比較を行ったところ,視覚刺激では,課題間における有意差は認められなかった。絵画制作においては,「c.抽象画」が他課題よりも有意に上昇した。学生群と美術熟達者の比較では,「c.抽象画」における美術熟達者のスコアが有意に高く,難易度の高い表現課題に対して,美術経験量と脳活動の関連性が示唆されるものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実施状況は、開始当初からの新型コロナウィルス蔓延の影響を受け続け、対面により実験が実施できない状況が続き、当初計画より遅れる結果となった。このため、計画期限である3カ年で研究を終えることができず、研究期間の1年延長を申請し、2023年度に、発達に支援を必要としている子どもの計測と効果的なアートプログラムの構築へ着手する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの成果をもとに実験計画を立て、健常児10名および発達障がい児10名を被験者として、描画制作中の脳活動を計測する。また、これらから得たデータより、発達支援としての様々な子どもの発達や特性を伸長する美術活動および芸術療法の新たなプログラムを開発する。本研究の結果については、年度末までに報告書を作成し、論文、研究発表等にて研究成果を示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、当初計画に対して、実験が遅れる結果となり、研究期間の1年延長を申請した。そのため、次年度の研究にかかる、物品費、交通費、謝金、その他の経費に使用する予定である。
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