研究課題/領域番号 |
20K02708
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
谷口 明子 東洋大学, 文学部, 教授 (80409391)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 病弱児支援 / 病弱教育 / ツール開発 / プログラム評価 |
研究実績の概要 |
本研究は、病弱児対象の「コミュニケーション力育成ツール(試作版)」の有効性・適切性の評価と、その評価に基づく改訂版の開発を目的とする。2020年度は、新型コロナウィルス感染拡大により大学の業務量が激増したため研究活動エフォートの著しい低下を余儀なくされたこと、および、研究協力者である病弱教育現場も大きな混乱があり研究協力が難しい状況にあったことから、研究計画を予定通り進めることは困難であった。限定された環境下において、2020年度は下記2つの研究活動を行った。 第一に、プログラム開発・評価に関わる文献検討を行った。多くのプログラム開発・評価研究が、事前・事後モデルのアウトカム評価のスタイルをとっていることが明らかになったものの、本研究課題同様、有効性評価を行っている研究も少ないながらも見られ、有効性評価という評価の在り方について確認することができた。 第二に、病弱教育担当教員対象のオンラインによるWEBインタビュー調査を行った。通常の学級以上に新型コロナウィルスの影響を受ける病弱教育現場からの協力可能性を探ることを目的として、その現状を確認するため、病弱教育担当教員9名の協力を得た。結果として、コロナ禍当初は授業の成り立ちを確保することで手一杯であり混乱状況であったが、徐々に混乱はおさまり、年度末には学力保障以外の子供の育ち支援や復学時の適応支援という従来病弱教育が担ってきた機能を、直接接触が制限される現状においてどのように果たしていくかに現場の関心が移行していることが明らかになった。 以上の研究成果の一部は2021年3月の日本発達心理学会自主シンポジウムにおいて話題提供として発表し、また、今後研修会講演を通して、病弱教育現場へフィードバックを行う予定である。また、得られた知見に基づき、次年度以降の研究活動の在り方再考へ活かしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、新型コロナウィルス感染拡大のため大学業務量が激増し研究活動エフォートの著しい低下を余儀なくされたこと、および、研究協力者である病弱教育現場にも大きな混乱があり研究への協力が難しい状況にあったことから、研究計画を予定通り進めることは困難であった。しかし、年度末に行った病弱教育担当教員対象のインタビュー調査から、協力負担を軽減し、非対面の方法を採用することで研究調査実現の方向性は見えてきたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として以下の2つの方向性に基づき、データ収集方法を検討する。 第一に、対面を前提とした研究活動が難しい状況のためZoomなどのオンライン会議システム等非対面で行えるデータ収集方法に切り替えて研究を遂行する。第二に、協力者である教師の多忙も想定されるため、紙ベースの開発済み試作版ツールをWEB化する方途を探る。 また、プログラム評価についてさらなる文献研究を行い、評価研究について理解を深める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的な新型コロナウィルス感染拡大を受け、国内外学会の開催中止による参加費の執行がなくなったこと、および海外・国内を問わず出張ができず出張経費の執行ができなかったこと、前述の通り研究活動遂行に困難があったことを理由として、次年度使用額が発生した。 次年度は可能であれば海外における学会に参加し情報収集を行うとともに、現在開発済みの試作版ツールのWEB化に繰り越した研究費を充当する予定である。
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