研究課題/領域番号 |
20K02715
|
研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
平沼 博将 大阪電気通信大学, 共通教育機構, 教授 (70333268)
|
研究分担者 |
服部 敬子 京都府立大学, 公共政策学部, 教授 (70324275)
高井 由佳 大阪産業大学, デザイン工学部, 講師 (90626368)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 保育事故 / 事故防止 / 安全管理 / 工程分析 / 眼球運動解析 |
研究実績の概要 |
本研究(2020年度~2022年度)では、保育中の重大事故が発生しやすいとされる睡眠中、プール活動中、食事中の場面を中心に、(A)自治体による事故防止・安全管理の取り組みの実態調査と有効な支援策の検討、(B)事故防止パンフレット作成による保護者支援効果の測定、(C)安全に保育を行うための事故防止技術・安全管理体制の可視化・数値化を行うことにより、(D)実効性のある事故防止・安全管理に向けた教育支援システムの構築を目指している。 2020年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響を受けて、計画していた調査や実験の実施が困難であったことから、研究スケジュールの変更(延期)を余儀なくされた。 研究(A)に関しては、今年度に実施を予定していた自治体への調査を次年度(2021年度)に延期するとともに、コロナ禍における保育・安全管理の状況を踏まえた調査内容に修正するために文献・資料の調査を行った。また、保育事故防止に取り組む団体・個人の協力を得て、日本保育学会第74回大会で自主シンポジウム「「保育事故」をなくすために(5)―子どもの命を守る保育の基準を再考する―」を開催し、保育中に発生した重大事故の傾向やコロナ禍における保育・安全管理の実情から、子どもたちを安全に守り育てることのできる「保育の基準」(保育士配置基準、面積基準、クラス規模など)について検討した。 研究(B)に関しては、自治体が乳幼児の保護者に配布している資料を収集するとともに、緊急事態宣言発令による乳幼児健診・新生児訪問実施への影響について聞き取りを行った。 研究(C)については、認可保育所の0歳児クラスと1歳児クラスを対象に、経験年数の異なる担任保育士(4名)に対して午睡チェックの工程分析および視線解析を行い、熟練保育士の動きと注視の特徴を抽出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度(2020年度)は、全国的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が続くとともに、本研究の調査・実験を予定していた大阪府、京都府に断続的に緊急事態宣言が発令されたことから、計画していた調査・実験の実施が困難となり、研究スケジュール全体に遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束が見通せない状況が続いているが、調査・実験を実施できる条件が整い次第、各研究ともに当初の研究計画に沿って研究を推進していく。 研究(A)「自治体による事故防止・安全管理の取り組みの実態調査と有効な支援策の検討」では、自治体を対象とした実態調査を2021年度前半に実施するとともに、回答の分析を進める。 研究(B)「事故防止パンフレット作成による保護者支援効果の測定」では、保護者を対象とした「乳幼児の睡眠環境・姿勢に関わる実態調査」を実施した上で、乳幼児の睡眠事故防止に関する保護者パンフレットを作成し、自治体の新生児全戸訪問事業を通じて配布する。 研究(C)「安全に保育を行うための事故防止技術・安全管理体制の可視化・数値化」については、保育士の日常の保育が計測対象となるため、コロナ禍でも協力いただける保育施設を探し、できるだけ多くのデータを集める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大の影響により、保育施設での実験・調査の実施が困難な状況が続いた。その為、使用を予定していた旅費および実験参加者・調査協力者・実験補助者に対する謝金の執行ができなかった。また、同じく今年度(2020年度)に実施予定であった自治体を対象とした「事故防止・安全管理の取り組みに関する実態調査」についても調査の実施を延期した為、調査実施に伴う費用(印刷費・郵送費等)を次年度に繰り越した。 2021年度も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束が見通せない状況ではあるが、延期した自治体および保護者を対象とした質問紙調査については、コロナ禍における保育・安全管理の実情を踏まえた調査内容に変更した上で2021年度中に実施する。また、保育施設で実施する実験についても、条件が整い次第実施予定であることから、それぞれに関連する予算についても順次執行していく。
|