研究課題/領域番号 |
20K02717
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
久津木 文 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 教授 (90581231)
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研究分担者 |
田浦 秀幸 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (40313738)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 幼児 / バイリンガル / 実行機能 / 認知 / 言語発達 |
研究実績の概要 |
子どものバイリンガルは二言語使用の経験から認知の能力である実行機能系が促進されていると考えられている。しかし、どのような二言語使用や状態がこのような心の発達に影響するかについてのエビデンスは殆どなく、日本語を含む幼児期のバイリンガルについてのものは皆無である。このような背景から、本研究では二言語使用経験及び状態をより厳密に定義・計測したうえで、日本語と英語を獲得する幼児を対象に、二言語使用の実行機能系を含む心の発達への影響を縦断的に明らかにすることを目的とする。 2021年度は2年目であったが、コロナウイルスの影響により新規調査・実験の実施が引き続き困難な状況であった。研究期間の延長も考慮しつつ、本年度は、これまでのデータの整理や再分析を行うことや、対面接触が少ないかたちでの実験課題の検討を主に進めた。オンラインの国際学会では、日本語を含む子どものバイリンガルの研究を行う専門家と共同で発表を行い活発な情報交換を行うことができた。また、逆にオンラインになったことにより参加することが可能となった他の言語発達系の学会においては、最新の研究結果のみならず、現在の特殊な状況において子どもを対象としてデータをいかにして収集しているのかを知ることができ大変参考となった。今後の調査の方法の検討に生かたい。 しかし同時に、子どもを対象とする調査自体が難しいままとなることが予測されることから、質問紙を含めた接触の少ない方法での研究実施の検討をはじめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
先にも述べたように、コロナウイルス拡大の影響により対面での実施の準備そのものが不可能であったため、オンラインでの国際学会への参加や発表に力を入れた。子どもを対象とした実験を行う海外の研究者も同じような状況下にあるようで、試行錯誤をしながらデータ収集をしていることを知ることができた。具体的には、ネット上に認知課題のプログラムを設定し、アクセスしてもらうことで家庭にいながら遠隔で調査に参加してもらう方法を用いている研究発表を聞く機会があり、これからの実施を考えるうえで非常に参考になった。
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今後の研究の推進方策 |
社会的・経済的にはウイルスとともに生きる方向になってはきているものの、幼児を対象とする対面での実験・調査等はまだしばらくは難しいことが予想される。 遠隔・オンラインでの実験・調査への切り替えが必要だと考えるが、そのためには、これまで用意していた課題自体を大きく変更しなければならない。また、参加者募集を行う施設や園も新たに探さなければならない可能性がある。さらに、そもそも調査参加へのハードルが高くなっているように感じるため、参加のハードルが低い課題を改めて立案及び検討する必要がある。。 このようなことから、22年度は、実行機能や二言語の使用についての先行研究や質問紙についての情報を収集し、計画の立案が必要となる。遠隔・オンライン、双方での調査・実験実施の計画をすすめ、所属大学での研究倫理審査の準備を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外での実施分も含む調査全般が実施できなかったことにより次年度使用金が生じている。 状況を鑑みながら、できる範囲と方法での調査をすすめていきたいと考えている。とくに、幼少期のバイリンガルの子どものデータは国内での実施のみでは難しいことから、外国で育つ日本語を含むバイリンガルの子どもを対象に調査を実施する予定である。調査先は現在検討中であるが、当初の計画通り、国内と外国での実施ができるよう準備を進めたい。
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