人材育成の一方策であるメンターシステムとは、知識や経験の豊富な人(メンター)が、未熟な人々(メンティ)のキャリア形成と心理、社会的側面に対して、面談等を継続して支援するものである。 この関係は、これまで職場において自然発生的に構築されてきたものだが、新型コロナウィルス感染症防止のの観点から、学校現場において対面での研修や全体での親睦的な行事が自粛されたことにより、構築がこれまで以上に難しくなった。同システムは、企業を中心に導入され,効果が報告されている。 本研究では、分散型メンターシステムを提案し、固定型メンターシステムとの比較においてその効果測定を行いたい。固定型メンターシステムとは、メンター をベテラン教員にメンティーを若年層教員に固定したものであり、分散型メンターシステムとは、状況に応じてメンターが変わり、ベテラン教員だけでなく、時には若手教員がメンターとなり、ベテラン教員に対してのコーチングやアドバイスにより、お互いの職能成長を促す機能も備えたシステムである。このシステムを学校現場に導入するために、メンターシステムキックオフミーティングを遠隔にて実施し、そのシステムの普及を試みた。また、松山市内の小学校に出向き、専門の講師によるメンターシステムに関する講習会を実施した。その結果、当該小学校の教師のウェルビーングは実施前に比べて上昇し、メンターシステムの一定の効果を実証することができた。
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