研究課題
令和3年度の前期は、小学校体育科から中学校保健体育科へと柔道の系統的なカリキュラムを構想する観点から、小学校低学年の児童を対象とした体つくり運動領域の多様な動きをつくる運動遊びにおいて、柔道の基本的な動きを学習内容として取り入れた教材を開発し、その有用性について介入を行った前年度後期の授業実践を検証した。令和3年度の後期は、その成果と課題を踏まえて、中学年の児童を対象とした多様な動きをつくる運動の教材を開発し、研究協力校にて授業実践を行った。低学年を対象とした授業では、全6時間の単元計画で多様な動きをつくる運動遊びの内容として学習指導要領解説体育編(2018)に示されている4つの運動遊びで、柔道の基本的な動きを取り入れた教材を開発した。その開発した教材について、授業評価や体力・運動技能テストを用いて有用性を検証した結果、形成的授業評価では単元の学習過程が進むにつれて成果、学び方、協力の3次元と総合評価の得点が向上した。また児童の変化を幅広く捉えることを目的として取り入れた主観的評価では7項目中、6項目の得点が単元後半に高まった。さらに体力・運動技能テストでは、単元終了後(6時間目終了後)に男子女子ともに3種目すべての記録が高まった。以上のことから、本研究で開発した柔道の基本的な動きを学習内容として取り入れた柔道遊びの教材は、低学年を対象とした体つくり運動領域の多様な動きをつくる運動遊びの教材として有用である可能性が示唆された。これらの結果は、日本武道学会で発表し、国際誌(Journal of Physical Education and Sport)に掲載された。令和3年度の後期に行った中学年を対象とした授業実践は、実施時期が三学期だったため現在解析中である。
2: おおむね順調に進展している
授業を実践する研究協力校の先生方との打ち合わせや教材開発および研究遂行にかかる研究協議会の開催は、コロナ禍で対面での実施が厳しい状況であった。しかし、リモートを活用したオンライン会議を頻繁に行うことで研究協力者や現場の先生方と意思疎通を図りながら進めることができたため、おおむね順調に進展していると考えている。
令和4年度の前期は、前年度の後期に実施した中学年を対象とした多様な動きをつくる運動で得られたデータを多方面から解析して、研究協議会で成果と課題を検証する。令和4年度の後期は、高学年の児童を対象とした体力を高める運動の教材を開発し、その実現可能性について研究協力校にて実証する。なお、前年度(令和3年度)の調査結果は、学会発表や論文により公表する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Journal of Physical Education and Sport
巻: 22(2) ページ: 321-330
10.7752/jpes.2022.02041
巻: 21(4) ページ: 1676 - 1681
10.7752/jpes.2021.04212