研究課題/領域番号 |
20K02741
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
市島 宗典 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (70410628)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 主権者教育 / 模擬投票 |
研究実績の概要 |
本研究課題における1年目における研究実績は次のとおりである。 ①日本および諸外国における主権者教育の事例を洗い出し、その内容、成果および課題について明らかにするために、主権者教育に関する文献調査および資料収集を進めた。 ②日本における主権者教育の現状とその課題について明らかにするために、現在、主権者教育がどの程度、どのように実施されているのかについて把握し、学校および行政の現場における主権者教育の課題を探索するため、都道府県および市町村の選挙管理委員会および教育委員会に対する調査の実施に向け、調査票の検討を進めた。 ③各教育レベルにおける模擬投票を活用した主権者教育プログラムの効果測定を行うために、本研究課題開始前に小学校において実践した主権者教育の際に実施した受講児童に対する意識調査の集計および分析を進め、小学校における主権者教育の効果測定を行った。その結果、主権者教育を受講することで、政治に対する関心やその学習意欲が高まること、自分の生活と政治とのかかわりがあるという意識や投票義務感が高まることが確認された。 ④各教育レベルにおける模擬投票を活用した主権者教育プログラムを開発し、その効果測定を行うために、選挙管理委員会が実施する主権者教育へ協力する形で、2年目~3年目に実施を予定している、主権者教育プログラムの開発とその実践を、高等学校2校において先行実施することができた。開発したプログラムの内容としては、高等学校のある地域(市町村)の課題を政策としてまとめ、それを選挙公報における公約とする市町村長選挙を想定した。受講する生徒たちには、その選挙公報に出てくる政策領域の中から自分にとって重要なものを選択してもらい、各候補者の公約を評価し、投票する候補者を決め、投票するという流れである。それに合わせて、高等学校における主権者教育の効果測定を行うための調査票を作成し、調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題1年目においては、 ①現在、主権者教育がどの程度、どのように実施されているのかについて把握し、学校および行政の現場における主権者教育の課題を探索するため、各都道府県あるいは各市町村選挙管理委員会および教育委員会に対するアンケート調査を実施し、その集計および分析により、現在の主権者教育の現状およびその課題を明らかにすることを予定していたが、調査票の検討にとどまった。 ②模擬投票を活用した主権者教育に携わっている各種団体等の活動についての資料収集およびヒアリング調査を通じて、模擬投票を活用して行われている主権者教育の事例を洗い出し、その成果および課題についてまとめることを予定していたが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴う感染拡大地域への移動制限により、インターネットによる資料収集のみの実施となった。 ③諸外国における模擬投票を活用した主権者教育の背景、内容およびその状況についての文献調査および資料収集を行うことを予定していたが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴う海外への渡航制限により、インターネットによる資料収集のみの実施となった。 新型コロナウィルス感染症の感染拡大による研究活動の制限があった一方で、 ④2年目~3年目に実施を予定していた、模擬投票を活用した主権者教育プログラムの開発とその実践を、高等学校2校において先行実施することができ、合わせて、その効果測定を行うための調査票を作成し、調査を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
①現在、主権者教育がどの程度、どのように実施されているのかについて把握し、その課題を探索するため、各都道府県あるいは各市町村選挙管理委員会および教育委員会に対する調査を実施し、その集計および分析により、現在の主権者教育の現状およびその課題を明らかにする。 ②主権者教育に携わっている各種団体等の活動についての資料収集およびヒアリング調査を通じて、主権者教育の事例を洗い出し、その内容、成果および課題についてまとめることを進める予定であるが、新型コロナウィルス感染症の感染状況を見ながらの推進となる。 ③諸外国における主権者教育の背景、内容およびその状況についての文献調査および資料収集を行い、主権者教育プログラムとその内容、成果および課題について把握することを進める予定であるが、新型コロナウィルス感染症の感染状況を見ながらの推進となる。 ④選挙管理委員会が実施している主権者教育へ協力する形で、模擬投票を活用した主権者教育プログラムを開発し、小学校・中学校・高等学校において実践する。その際、受講児童・生徒に対する意識調査を実施し、その集計および分析により、効果測定を行う。 ⑤模擬投票を活用した効果的な主権者教育を広げていくための方策を提案するため、主権者教育に携わっている各種団体等に対するヒアリング調査(意見聴取)等を実施し、地方公共団体の協力を取り付け、模擬投票を活用した効果的な主権者教育を広げるための方策を試行的に実施することで、実際に主権者教育を広げていく足掛かりとする。 本研究課題における今後の研究の推進方策は、以上のとおり、研究実施計画にもとづき、研究を推進していく予定であるが、今後も国内あるいは海外への移動制限が断続的であっても継続された場合には、研究計画を変更し、国内における研究に絞るなど、研究の推進方策を修正せざるを得ない可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴う感染拡大地域あるいは海外への移動制限により、模擬投票を活用した主権者教育に携わっている各種団体等の活動についてのヒアリング調査および諸外国における模擬投票を活用した主権者教育の背景、内容およびその状況についての資料収集の実施が不可能になったことがある。 使用計画としては、新型コロナウィルス感染症の感染状況を見ながら、研究実施計画にもとづき、研究を推進していく予定であるが、今後も国内あるいは海外への移動制限が断続的であっても継続された場合には、研究計画を変更し、国内における研究に絞るなど、研究の推進方策を修正せざるを得ない可能性がある。
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