研究課題/領域番号 |
20K02743
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
坪井 龍太 大正大学, 人間学部, 准教授 (30440374)
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研究分担者 |
高瀬 顕功 大正大学, 社会共生学部, 専任講師 (90751850)
齋藤 知明 大正大学, 人間学部, 専任講師 (80646224)
増渕 達夫 帝京大学, 教育学部, 教授 (10882954)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 特別の教科 道徳 / 少数者 / 公正 |
研究実績の概要 |
2020年度にスタートした本研究であるが、コロナ禍に見舞われ、授業のオンライン化など多忙を極め、すべての研究者の本研究へのエフォートが大幅に低下した。また所属大学以外の大学図書館を利用することがきわめて困難となった。そのため、中学校道徳にかかる情報収集をネット上で行い、少数者を包摂するための公正の考え方を追究する教材の発掘等を行うこととした。 すなわち本研究にかかる基礎データの収集に留まる研究となったが、2019年に「特別の教科化」された中学校道徳の理論研究については先行研究がまだ乏しいため、都道府県教育委員会、教科書会社等のデータベースで実践事例を収集することができた意義は大きい。 2020年度のささやかな研究成果として、研究代表者は教材開発にかかる研究について、中等教育段階における絵本の活用可能性を明らかにした。また中等教育段階における生徒指導への課題を把握する上で、海外帰国生徒に関して多文化教育の視点からその特性を明らかにできたことは、本研究に資するものである。 新規に加わった研究分担者による、中等教育段階における校長と教育委員会の「良好な関係」を追究する論考は、実証的研究を標榜する本研究にとって、学校現場での調査を行う上での大きな示唆を与えてくれている。 本年の成果をさらに実りあるものにするために、平成29年告示の中学校学習指導要領、平成30年告示の高等学校学習指導要領での道徳教育の扱いについて、中央教育審議会答申なども精査しながら、その課題や論点を明らかにし、本研究の発展へとつなげていかなければならない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」に示したとおり、コロナ禍で研究の進捗は大幅に遅れた。研究計画策定の段階(2019年夏から秋)から本研究の実施を承諾していた自治体の教育委員会事務局より、コロナ禍が収束するまで、学校を訪問することは困難であることが伝えられた(2020年春)。実証的研究(現場に即した研究)を目指す本研究組織にとって、大きな痛手であった。そのため、基礎的な情報収集に留まらざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍がいつ収束するかわからない。そのため本研究組織では、楽観的に考えるのではなく、現実的に2021年度も現場に即した研究は、きわめて難しいという認識で一致している。 そのため次の3点を確認している。1つに「少数者の包摂のための道徳教育」という枠組みを維持しながら、人権教育一般にウィングを広げるとともに、「個人と社会の関わり」だけでなく「個人と個人の関わり」にも注目していく(研究の射程の拡大)。2つめにゲスト講師を招きレクチャーをしてもらい、専門的知見を本研究組織にもたらしてもらう。まずは2019年から教科化された中学校道徳科の(初めての)教科書編集について、教科書会社から編集長を招いてレクチャーをしてもらう。具体的には道徳の教科書編集と副読本編集との違い、教科書編集上の工夫と現場教員等からの反応など、教科書編集の実際と現場の声の取り入れ方などについて、レクチャーしてもらう(研究の専門性の深化)。3つめに実証性のある研究を追究するために、東京都教育委員会の指定する人権尊重教育推進校の取組を実地に観察したり、コロナ禍の推移を見守りながら、東京都・千葉県・茨城県の中等教育機関の現場を訪問し、2022年以降の実証研究の下地をつくる(研究を予定していた自治体以外にもフィールドを広げる試み)。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、直接経費をすべて使用することができず、次年度に繰り越したため。謝金を活用し、ゲスト講師を招いてレクチャーをお願いするなど、研究の専門性を深化させる使用計画をあらたに考えている。
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