研究課題/領域番号 |
20K02744
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
北澤 俊之 東洋大学, 文学部, 教授 (70553741)
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研究分担者 |
三澤 一実 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (10348196)
榎本 淳子 東洋大学, 文学部, 教授 (50408952)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 造形的な視点 / 身近な事物のとらえ直し / 発達 |
研究実績の概要 |
2021年度はこれまでの先行研究の整理をふまえ、大学生を対象とした予備的調査を実施した。概要としては、見慣れた対象を再度異なる造形的な視点でとらえ直す方策としての「言葉」に着目し、言葉がもつ力や、それらが新たな概念化を促す実際について調査・考察を行うというものであった。研究者はこれまで身近な事物を改めて造形的な視点からとらえ直すための造形教育プログラムを構想してきた。ここでいう造形的な視点とは、一般的に形・色・テクスチュアなどをとらえる視点を指すが、これまでの研究では、形や色に比してテクスチュアやコンポジションに関わるプログラムが十分に開発できていなかった。この課題を受け、身近な事物のテクスチュアやコンポジションを写真に収める「自作アートカード」の可能性を検討してきた。その過程で得られた知見の一つに、対象の新たな範疇化を促す契機となる言葉のはたらきがあった。そこで今回の予備調査では、自作アートカードをグループ化(範疇化)する際に見られる言葉に焦点を当てて分析した。事物の一般的な呼称に始まり、事物の形や色、さらにはテクスチュアやコンポジションといった造形的な属性へと視点(注意)が移行する際に表れる言葉を捉えることで、プログラムをデザインする際の有効な手立てを得たいと考えた。 調査の結果、オノマトペのような感覚を刺激する言葉を学習者に意識させることによって、事物のもつテクスチュアコやンポジションに対する注意を高めることができることが明らかになった。 知覚と言葉との関連については、認知心理学や認知言語学の分野では自明の知見ではあるが、改めてそれを造形教育につなぐことができたことはささやかながら一つの成果であったといえる。そして言葉が造形的な視点による事物の「とらえ直し」を促すというここでの成果は、今後子どもの発達との関連を考える上で、非常に重要な視点となると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度もコロナ禍の影響で学校現場における調査を実施することができなかった。しかし、学生を対象とした予備調査において、「とらえ直しを促す言葉のはたらき」という新たな視点を得ることができたことは収穫であった。ただし、研究課題である「とらえ直し」と「子どもの発達」の関連を探る上では、異年齢の子どもたちを対象とした調査は必須である。引き続きコロナの感染状況が改善しない場合も想定し、2022年度は研究者が現場に出向くことなく調査が可能となるような、協力者向けの「調査マニュアル」を作成することを検討したい。
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今後の研究の推進方策 |
これまで述べてきた2021年度の研究状況をふまえ、2022年度は以下のような方針で研究を進めていきたい。 ①今回得られた知見である「言葉のはたらき」を、子どもの発達との関係の中で改めて位置づけ直し、実際の調査に反映させる。 ②3月21日をもってまん延防止等重点措置が解除されたものの予断を許さないことから、協力者向けの「調査マニュアル」を作成するなど、感染防止に十分配慮した調査を工夫する。 ③研究分担者の協力を仰ぎながら調査結果を分析し、有意義な結論を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍の影響で、予定していた海外出張や学校現場に赴いての調査が実施できなかったことによる。今年度の使用については、関連資料収集のための旅費(国内に加え可能ならば海外出張も予定)や調査に使用する物品・機材(画材・カメラ・三脚等)、また分析作業に関わる謝金、報告書作成のための印刷費など計画している。
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