研究課題/領域番号 |
20K02751
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研究機関 | 関西福祉大学 |
研究代表者 |
金子 美里 関西福祉大学, 教育学部, 講師 (90867954)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 解体 / 振り返り / 思考過程の明確化 / メタ認知 / 工作 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,学習の振り返りにおいて,有益な振り返りのための支援をいかに行うか,その手立てを考えるところにある.学習の振り返りの支援については,学習科学において最も中心的な研究課題の一つとされている.本研究において明らかにするのは,工作における制作物の「解体」と思考過程の明確化との関わりである.制作の行為に留まらず「解体」することは,プロセス思考を触発し思考過程を明確化させることとして有効かの調査を行った.【方法】調査内容は,テーマから自由に発想した工作を行い,その振り返りを調査A,その後「解体」してからの振り返りを調査Bとし,「制作中に考えたこと」「完成した制作物に思うこと」「この制作で知ったこと」の記述式によるアンケート調査を行った.併せて,被験者が自身の調査Aと調査Bを俯瞰して思うことの調査を行った.分析の方法として,無作為に選んだ被験者3名の記述式アンケートを分節化し「課題遂行の各段階におけるメタ認知的活動」を指標としてカテゴリーに分類したものから各被験者の調査における特徴を見出した.【結果】参加者数は25名で,男性7名,女性18名であった.分析の対象となった被験者3名からは,共通の傾向が見られた.さらに,調査Bにおいては,被験者が自身の思考の深まりや広がりに気づき,自らの変容について言葉で明確に記している点が特徴として見られた.また,被験者が自らの調査Aと調査Bによる記述を俯瞰した調査から,調査Aでは,「制作物を視覚で捉えて振り返る傾向」,調査Bでは,「活動と思考過程に目を向けて振り返る傾向」がみられた.【結論】本研究は,思考過程を明確化する支援として「解体」の有効性を検証した.「解体」によりプロセス思考が触発され生産的なメタ認知が見られたことから,今後は調査を重ね、分析におけるカテゴリー化をしていき、「解体」における思考過程の明確化を体系化していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査は少人数ではあるが、実施できている。分析の方法を改善しつつ、進めていくことができている。
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今後の研究の推進方策 |
「解体」によりプロセス思考が触発され生産的なメタ認知が見られたことから,今後は調査を重ね、分析におけるカテゴリー化をしていき、「解体」における思考過程の明確化を体系化していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で、研究が計画通りに進まず、予算案通りに進めることはできていない状況である。その為、次年度使用額が生じている。
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