研究課題/領域番号 |
20K02753
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研究機関 | 神奈川県立生命の星・地球博物館 |
研究代表者 |
佐藤 武宏 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 学芸部長 (30280796)
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研究分担者 |
田口 公則 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (70300960)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自然観察 / 自然遊び / 小学校 / 幼稚園 / 自然教育コーディネーター / プッシュ型支援 / 教育プログラム開発 / ワークショップ |
研究実績の概要 |
新学習指導要領「生きる力 学びの、その先へ」では、幼稚園や小学校において「身近な自然」との関わりを、自然観察や遊びを通じて教育の中に取り入れていくことが重要である、とされている。特に、未就学児に注目すると、幼稚園教育要領、保育所保育指針には、幼稚園、保育園、認定子ども園のすべてに共通して「育ってほしい姿(10の姿)」が明記され、その中の一つに「自然との関わり・生命尊重」が示されている。そこで、本研究では、自然教育コーディネーターが学校や幼稚園で自然観察や自然遊びを実践する、プッシュ型支援の推進を目指して研究を展開している。 しかし、新型コロナウイルス感染症の流行のため、令和5年5月の5類化移行に至るまで学校や幼稚園への外部の人間の立ち入りが厳しく制限され、その結果この4年間、研究は遅れて進展している。 令和5年度にはようやく対面での活動が通常通り可能になったため、研究協力者、関連する外部研究者、自然教育コーディネーター・実践者と連携し、以下について研究を進めた。(1)モデルとなる保育園に対する野外観察会の実施。野外観察に先立つ事前学習、野外観察後の事後学習を設定し、それらの効果について検証を行った。結果についてはドキュメント化を行った。(2)モデルとなる幼稚園の主任教諭、教諭に対する、野外観察研修会の開催。実際に野外へ赴き、園児向けのプログラムに沿って、ロールプレイイングによって学習ポイントや注意ポイントなどを学ぶ研修を行った。(3)幼稚園教諭・保育園保育士に対して、自然観察や自然遊びの効果について講演を受講することが、どのような意識変化に繋がるかの調査および分析。(4)貝殻のような触れる標本を利用した視覚特別支援学校での室内ワークショップの実施。(5)児童、生徒および教諭へのワークショップの実施。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行のため、学校や幼稚園への外部の人間の立ち入りが厳しく制限され、対面での活動が難しかった。特に、研究協力者、関連する外部研究者、自然教育コーディネーターとのディスカッションやコミュニケーションを十分に実施することが難しい状況が令和4年度末まで続いた。令和5年5月のコロナ5類移行によって、ようやく通常通りの対面での活動ができるようになり、少しずつではあるが研究の進行スピードが戻り始めている。しかし、それでもなお4年近くに至るコロナ禍の影響は、依然著しく研究の遂行に影を落としている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では5か年を1年ごとに区切り、それぞれ、現状分析(Research)、企画(Plan)、開発(Develop)、試行(Check)、実践(Act)の年と位置づけて研究を展開させる予定であった。 しかし、新型コロナウイルス感染症の流行のため、研究に大幅な遅れが発生し、スケジュールが大きく乱されてしまった。 令和5年5月にコロナ5類移行によってようやく以前のような対面での活動が可能になってきたので、令和5年度は研究の開発、試行を並行させながら研究の進展を加速させてきた。遅れは依然として取り戻せていないが、令和6年度は開発、試行、実践を同時に並行させて進めることにより、より研究を加速させ、成果を上げることに努めていきたい。 新型コロナウイルス感染症は教育、保育の場に様々な制約と陰を落としたが、逆にこのコロナ禍を経験したことで、オンラインミーティングや、リモート授業といった新しいコミュニケーションスタイルが定着した上、動画や写真といったデジタルコンテンツを利用したアクティブラーニングの重要性がよりクローズアップされてきた。今後はアフターコロナにおける「身近な自然」体験を視野に入れつつ、自然教育コーディネーターが学校で何をどのように実践するのかについて、開発しながら試行を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により、小学校、幼稚園への外部の人間の立ち入りが厳しく制限された。そのため、令和2年度に計画していた聞き取り調査や現状分析、令和3年度に計画していた教育プログラムの企画、令和4年度に計画していた教育プログラムの実施などが著しく遅れた。 令和5年度から徐々に遅れを取り戻しつつあるが、依然計画は遅れて進行している。 令和6年度は、これまでに遅滞したプログラムの開発、試行、実践などを並行して進めることにより、予算執行を伴う研究を遂行したいと考えている。
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