研究課題/領域番号 |
20K02757
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
喜多村 徹雄 群馬大学, 共同教育学部, 准教授 (60466688)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 美術教育 / 教科横断的学習 / 表現題材 / 地域資源 / 現代美術 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は「地域資源を活用して〈領域横断的表現題材〉を開発する」ことである。前年度に引き続き感染症感染拡大防止措置による移動制限のため全国各地に実施調査へ赴くことが難しかった令和3年度は、研究代表者の大学が所在する群馬県を中心に3つの美術展の調査を行った。特に、前橋市街地で地元作家が主催して開催した展覧会は、二河川に挟まれた地理的特徴に着目して回遊性を高める工夫(景観的資源)がなされるとともに、新旧織り交ぜた会場選定(歴史的資源)、参加作家の半数を地元作家で構成(人的資源)するなど、多様な資源を活用していることがわかった。また、渋川市美術館で開催された企画展では、継続開催してきた企画展で取り上げた作家によるグループ展が開催されており、これもひとつの人的地域資源に該当する可能性があることがわかった。最後に中山間地域で開催される里山国際芸術祭「中条ビエンナーレ2022」を調査した。地域資源を活用がもっとも期待される中条ビエンナーレ参加作品の多くは、展示空間および環境を活用したサイトスペシフィックな作品が多く、地域資源の活用という観点から取り組まれた作品は少ないことが判明した。このことは、地域芸術祭そのものは地域資源を活用しているが、参加作品にそれが反映されるとは限らないことを示唆している。 加えて、前年度に群馬県中之条町六合村の住民に取材し、山間地域の風習に着想を得て開発した試験的表現題材の改善に取り組んだ。地域資源を活用して領域横断的表現題材の開発を目指す本研究の目的に照らせば、題材開発のための予備的試験に位置づき、領域横断の観点に基づく改善を行った。具体的には、民族誌学の要素に自然と農業の要素を取り入れ、「中条ビエンナーレ2022」で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の拡大によって発出された緊急事態宣言による展覧会の中止や、その後も断続的に継続した移動自粛によって他県への視察が困難になったことで、全国で開催される展覧会やアートプロジェクトから地域資源を主題とした現代美術作品を調査が滞ったことに伴い、新たな資料収集ができず、分類・分析が滞っている。
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今後の研究の推進方策 |
感染症の流行状況に改善に兆しがみられることに加え感染拡大防止措置の方針が緩和傾向を示していることで、地域資源の活用事例が期待できる現代美術展も開催されるようになっていることから実地調査に注力し、滞っている資料収集並びにその分類・分析を進める。加えて、令和3年度に実地調査できた展覧会の主催者および地域資源を活用した領域横断的表現を実現している作家に追加ヒアリングを行い、分析を行うことで、表現者の視点を研究に反映させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由 新型コロナウィルス感染症の拡大によって発出された緊急事態宣言による展覧会の中止や、その後も断続的に継続した移動自粛によって他県への視察が困難になったため、予定していた旅費が次年度使用になっている。
使用計画 感染症の流行状況に改善に兆しがみられることに加え感染拡大防止措置の方針が緩和傾向を示していることから、次年度使用額に該当する費用は、当初の計上通り調査旅費および現地での資料収集に充てる。また、資料整理および分析にともなう人件費や専門的知識の追加提供を得るための謝金に充てる。
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備考 |
試作品発表 ①令和3年4月30日~5月2日/「中之条ビエンナーレ2021 Prelude」、②令和3年10月15日~11月14日/「中之条ビエンナーレ2021」
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