研究課題/領域番号 |
20K02761
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
熊倉 啓之 静岡大学, 教育学部, 教授 (00377706)
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研究分担者 |
松元 新一郎 静岡大学, 教育学部, 教授 (40447660)
近藤 裕 奈良教育大学, 数学教育講座, 教授 (80551035)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 数学教育 / 割合 / 体系的カリキュラム / フィンランド |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,「割合」についての理解を深め活用力を高める教材と効果的な指導法を実証的に明らかにして,小・中・高を一貫した「割合」指導の体系的カリキュラムを構築し提言することである。その目的を達成するために,令和2年度は,次の取組みを行った。 1 最新(2014年・2015年)の国家カリキュラムについて,割合指導の体系を分析するとともに,カリキュラムに基づく教科書を購入して,割合の指導内容について分析した。分析結果から,日本と異なり,小学校だけではなく中学校,高等学校においても,単元を設けて割合指導を行っている実態を明らかにした。 2 令和2年度より,新学習指導要領に基づく算数科教科書が使用され,割合の内容が変更されたことから,日本の算数教科書の分析も合わせて行った。分析結果から,教科書会社によって扱っている問題のタイプや題材が異なること等を明らかにした。 3 割合指導に関する海外の論文を複数分析して,日本の割合指導と海外の割合指導の比較を行い,日本の割合指導の特徴として小数倍と関連付けて導入している点等を明らかにした。 4 分析結果を踏まえて,小学校算数科における割合指導に関わる実験授業を3回行った。1回目の授業は5年生を対象に確率的な教材を用いた実践を,2回目の授業は6年生を対象に比の単元で割合の問題を扱った実践を,3回目の授業は5年生を対象に百分率から導入する実践を行った。それぞれの実験授業を通して,確率の教材の有効性,百分率から導入することの可能性,比の単元での扱いの有効性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ研究計画通りに進んでいる。 コロナウイルスの関係で,計画していたフィンランドでの現地調査ができなかったため,教科書は購入して分析したものの,教科書以外の教材や教科書を活用してどのように指導しているかまでは分析できていない。 その代わりに,計画にはなかった「海外の論文分析」と,「日本の算数教科書の分析」を行うことができ,日本の割合指導の特徴と課題を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,次の取組みを行う計画である。 1 フィンランドを訪問して,割合指導の実態の詳細を明らかにする。 2 3回の実験授業の成果と課題を踏まえて,引き続き算数科における実験授業を行う。 3 中学校,高等学校でも,割合の指導に関わる実験授業を複数回行う。 4 これまでの調査分析結果と実験授業の成果と課題を踏まえて,割合指導の体系的カリキュラムを構築して提言する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響により,海外(フィンランド)視察調査が実施できなかった。また,研究分担者,研究協力者で構成する研究グループによる全体研究会を対面で計画していたが,オンラインにより実施した。以上から,旅費の支出が,当初計画よりも大幅に少なくなった。 今年度は,コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえて,可能な範囲で海外視察や全体研究会,さらに,授業研究会を実施して,旅費を支出する予定である。
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