研究実績の概要 |
本研究の目的は「専門職の学習共同体」としての学校を創造する校長のリーダーシップの特質について,構成主義的なリーダーシップ論の観点から理論的・実証的に検討することである。具体的な到達目標は,①「専門職の学習共同体」の基礎となるリーダーシップについて,構成主義的なリーダーシップ論の観点からその特徴と位置づけを明確にすること,②アメリカの「専門職の学習共同体」としての学校の参与観察および校長への聞き取り調査をもとに,その学校の特徴や校長のリーダーシップの在り様を検討すること,である。①については欧米における「分散型リーダーシップ」の代表的論者(James Spillane, Alma Harris, Peter Gronn, David Hartley)の議論について、その理論的基盤や重要概念を明確にしながら整理・検討した。より具体的には、機能的(記述的-規範的),批判的,社会批判的アプローチとして位置づける枠組みを手掛かりとして,それぞれの論者が①なぜ「分散型リーダーシップ」に注目したのか,②理論的な基盤は何か,③オリジナルな視点や概念モデルの特徴はどのようなものかという観点から整理・検討し,その意義と課題について考察を加えた。また「専門職の学習共同体」のルーツとなる基盤的な研究としてアメリカの教育学者フレッド・ニューマン(Fred M.Newmann)の「学校の再構造化研究(School Restructuring Study)」を位置づけ,その特徴と意義について考察を加えた。②についてはイリノイ州シカゴ郊外にあるウェストモント(Westmont)学区の教育長ジャック・バルダーマン(Jack Baldermann)氏の導きのもとで複数の学校を訪問・観察し,今後の研究の参考になる知見を得た。
|