研究課題/領域番号 |
20K02769
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
三次 徳二 大分大学, 教育学部, 教授 (10298127)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 野外観察 / 理科 / 地学領域 / 川 / 地層 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,野外観察を行わなくても,地層や川の学習において児童・生徒が地域の自然を体験的に学習し,主体的に問題を見いだしたり,自然の中の関係性に気付いたりすることが出来る代替教材やそれを用いた教育方法を開発することである。また,それらを小・中学校における授業実践において評価し,その結果と,実際に野外観察を行っている学校の実践記録や映像教材の視聴のみで直接的な体験を行っていない学校の学習成果などとも比較することも視野に入っている。 2020年度については,大分県内や,東北地方(山形県や秋田県)および関西地方(大阪府や兵庫県)において,河川や地層の調査を行うとともに,それを基にした教材作成を実施する予定であった。しかし,新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,野外調査の実施が禁止された期間が長く,2020年度後半の一時期に,大分県内についてのみ認められる状況であった。そのため,当初計画していた教材作成のための野外調査は,県外分は一切できておらず,大分県内分を一部実施出来ただけであり,山国川流域で教材を作成する川原の選定を行った。また,野外調査が実施できないため,その代わりとして,先行研究の文献調査や,小・中学校理科教科書における野外観察についての記述事項の分析を行い,来年度以降の教材作成の基礎研究を行った。 川の野外観察に関する小学校理科教科書の記述を例に説明すると,野外観察の観察対象としては,大きく分けて,川原の石を対象とするものと,水の流れを対象とするものの2つがある。これは,現在とは対象学年が異なるものの,昭和20年代の教科書から一貫していることを確認した。本研究においては,川原の石を中心として研究を行っているが,水の流れについても何かしらの教材が作成できると,小学校における理科教育の発展に寄与できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度については,大分県内や,東北地方(山形県や秋田県)および関西地方(大阪府や兵庫県)において,河川や地層の調査を行うとともに,それを基にした教材作成を実施する予定であった。しかし,新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,野外調査の実施が禁止された期間が長く,2020年度後半の一時期に,大分県内についてのみ認められる状況であった。また,得られた成果を発表する予定であった学会等も大幅に規模を縮小しているため,研究成果の発表もできなかった。 その代わりとして,先行研究の調査や小,中学校理科の教科書研究など,本研究の趣旨と合致し,成果公表に当たって必ず必要となる文献調査を先に実施していたが,それでも1年間ほとんど野外調査が出来なかったので,その遅れは取り戻せないほど大きい。 本研究で行う予定であった,川に関する教材作成や地層に関する教材作成についてほとんど進んでいないため,「遅れている」という判断とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度については,2020年度に実施できなかった大分県内や,東北地方(山形県や秋田県)および関西地方(大阪府や兵庫県)において,河川や地層の調査を実施する予定であるが,新型コロナウイルス感染症の収束が見えていない状況のため,確実に実施できると断言できない。 今後もこのような状況が継続するようであれば,大分県外における調査を断念し,調査が許可される可能性がある大分県内の河川や地層のみを対象とした教材作成に切り替えることを検討する。なお,本報告書作成時点では,大分県内においても不要不急の外出が制限されている状況である。 教材作成とは別に,野外観察を行っていない学校の調査については,協力者(小学校教員)への聞き取り作業などを進めたい。また,児童の学習成果などの記録も保存を依頼しているので,その分析を進めたい。このように,本研究の目的に合致する範囲で,研究を進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う行動制限のため,2020年度に予定していた東北地方(山形県,秋田県)および関西地方(大阪府,兵庫県)における河川や地層の調査がすべて実施出来ず,それに用いる予定であった旅費,資料等の運搬費,実物大写真の印刷費,資料整理のための謝金など,すべて用いることが出来なかったためである。 感染症の収束時期にもよるが,可能であれば,2021年度に東北地方や関西地方の調査を実施し,そこで次年度使用額を用いて研究を行いたい。
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