我々日本人は、明治期以降より、部活動という教育システムの中に身を置いてきたため、 部活動という概念を自然と持ち合わせています。そのため、部活動の定義が無くても何となく議論することが今日まで出来ています。しかしながら、「部活動」と「クラブ活動」が同義に捉えられたり、サークル活動、同好会との区別も判然としません。されに国際比較と称し、イギリスやアメリカ等々で行われている「スポーツ活動」と我が国の「運動部活動」が無条件に同じものとして議論されていますが、果たして同じなのでしょうか。日常的に用いられている言葉の概念ほど、個々の経験や知識に基づくことが多いため、その定義は曖昧になりがちです。そこで今年度は、部活動を成立させる「部」とはそもそも何か、「部」の定義づけを検討しました。 本年度においての検討事項は、学問が正統に体系づけられている哲学、数学の二つの学問に依拠しながら研究を進めました。また、それぞれ時代も異なるし国も違うため、これらの共通点を取り出し普遍的な「部」の定義づけを目指しました。そのための研究方法は、「共時性(Synchronism)」と「通時性(Diachronism)」の視座から分析を行いました。 辞書的定義によると、部活動とは「特定の文化的・体育的分野や種目を専門的に追及する児童・生徒の自治的な教科外活動。部活。クラブ活動」です。ここで「部活」と「クラブ活動」の辞書的定義を確認する必要性が出てきました。部活動の辞書的定義へと立ち戻れば、「文化的」「体育的」「専門的に追及」「自治的」等々となり、これらの用語自体の解釈も多様性を含み曖昧さがあります。 以上、部活動の定義づけは、辞書的定義だけでは不十分であることを指摘し、その一方でその困難性を指し示しました。そして「部」の定義づけには「数学的定義」が不可欠となることを明らかにしました。
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