研究課題/領域番号 |
20K02773
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研究機関 | 川村学園女子大学 |
研究代表者 |
齋藤 美重子 川村学園女子大学, 生活創造学部, 准教授 (60748987)
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研究分担者 |
佐藤 真弓 川村学園女子大学, 生活創造学部, 准教授 (20825286)
佐瀬 茜 (叶内茜) 川村学園女子大学, 生活創造学部, 講師 (80849092)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヤングケアラー / ケア教育 / 共生社会 / セルフアドボカシー / オープンマインド / ケア / 学校教育 / 生涯学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はケアラーの課題に照らした哲学対話的家庭科授業プログラムの開発を行い、生涯学習につなげることである。 ケアに関する全国成人アンケート調査結果分析より、自分がケアしケアされていると認識している「共生型」、ケアせずケアされてもいないと認識している「孤独孤立型」、ケアされているがケアをしていないと認識している「ケアド単独型」、ケアしているがケアされていないと認識している「ケアラー単独型」の4類型化することができた。「共生型」は他の類型に比べて、今後の社会に向けて自己の能力を最大限に発揮すると同時に支援を幅広く求めていたことが確認された。ゆえに、ケア教育にはケアしケアされていると認識させ、双方の人権尊重と当事者性が重要な視点であることが示唆された。 イギリスにおけるヤングケアラー支援の変遷及び研究動向を探った結果、ケア学習プログラムには①ケアしケアされることが人間の営みであるという視点、②ライツベースアプローチの視点、③生きることを考える視点、④自分自身の多様性を認識し多様性を語り合いせめぎ合い認め合う視点、⑤ケアの多義性を考える視点、⑥ケアの倫理、徳の倫理、未来倫理、正義の倫理を編んでセーフティネットにする視点が示唆された。また、東南アジアの人々へのインタビュー調査結果より、発展途上国にもヤングケアラーは存在していることが確認されたが、認知度は低く貧困対策が優先されていることが明らかになった。 ケアラーの課題の一つには本人自身がケアラーであることを認識していないことであった。ヤングケアラーと認識していても言い出せない、言っても仕方がないと諦めていることが明らかになっており、ヤングケアラーであることへの気づきを促し、自己理解し、助けを求めるセルフアドボカシースキル育成に向けたプログラムを開発し、同時にセルフアドボカシーを受けとめる環境にしなければならない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症による影響から、海外のフィールド調査は芳しくない。その代わりとして、国内の学校教育による分析は行っている状況であり、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は本研究のまとめの年となるため、生涯学習への実践と、アジア地区家政学会での発表、書籍の刊行等、今までの成果をまとめて、普及啓発活動に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で、国際家政学会における発表ではハイブリッドで行われたため、出張経費を使わなかったことと海外での調査ができなかったことが大きな要因となっている。 次年度は国内調査の分析を進め、本研究成果をまとめ、広く社会にケア学習デザインを普及させるために書籍の出版にあてようと考えている。
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