研究課題/領域番号 |
20K02776
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
奥泉 香 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (70409829)
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研究分担者 |
松下 達彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00255259)
池野 範男 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (10151309)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マルチモーダル / 複モード・テクスト / 国語科教育 / 教科横断的 / 教科書教材 / 図表 / 地図 / 周辺語彙 |
研究実績の概要 |
当該年度は、本「研究の目的」である「文章と図や写真、表、グラフ等が組み合わされた複モードのテクストを読み解き・発信する学習を、言語力を軸としながら教科横断的に活用できるような学習者用ガイドブックの開発」を目指し、主に以下の研究基盤の整備と、分析・整理を実施した。 本科研の申請時には、初年度に米国及び豪州への海外調査を予定していたが、コロナ禍の影響で実施することが困難となったため、海外調査は次年度後半に計画修正を行った。そこで当該年度では、海外調査先として予定していた研究機関ならびに研究者と、オンラインでのミーティングを重ね、連携をとりながら2021年度秋に協働で国際シンポジウムをオンラインにて開催することを目指して準備を進めた。 具体的には、申請時に提示したジャンル研究の枠組み(a) 私的ジャンル(経時的な再話、物語)、(b) 事実に基づくジャンル(手順、報告)、(c) 分析的ジャンル(因果的説明、説明、論証)の内、(b) と(c) のジャンルに焦点を当て、国語科と社会科の教科書に掲載されている「文章と図や写真、表、グラフ等が組み合わされた複モード・テクスト」を、この(b) と(c)の枠組みを用いて分析・整理した。(a) は時間順や物語構造を備えたテクストのため、社会科の教科書にはほとんど掲載されていないため、今回の分析からは外した。この分析・整理の結果、複モード・テクスト及びその周辺部は、国語科でも社会科でも、ほぼジャンル研究の枠組みを適応した整理が可能だが、それらの複モード・テクストを含む教材文全体のマクロジャンルで分析すると、ジャンルの目的と各教科の学習目的との関係で、国語科と社会科では整理のし方を変える必要があることがわかった。本年度のこの知見を、次年度に活かして研究を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、コロナ禍の影響で1年目に予定していた海外調査を実施することは難しかった。しかし、オンライン・ミーティングを活用することによって、具体的な研究交流を進めることができ、その成果として2021年度後半に、オンラインで国際シンポジウムを開催する運びとなった。したがって、当該年度は、その国際シンポジウムに向けた論点の整理等の準備を、オンラインで交流し進めることができた。 また、当該年度の間に、次年度以降必要になる教科書分析や整理を、進めておくことができた。この作業に関しては、国内で研究分担者と協力して進めることができたため、現状として概ね予定通りに進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、次年度後半に計画している上述の国際シンポジウム(オンライン)での討議を基に、複モード・テクストの学習に必要となる周辺学習語彙の分析・整理の段階へと研究を進める予定である。この周辺学習語彙の分析・整理では、そのテクストがジャンルとして持ち得る目的や、扱うトピックの領域との関係で、どのように周辺学習語彙の抽象度と領域固有の語種の特徴や、語彙間の連関性を分類・整理するかにも目配りをして研究を進める予定である。 上述の国際シンポジウムでは、周辺学習語彙や語彙間の連関性の学習を、次年度改訂するオーストラリアン・カリキュラムを例に、系統性や問題点の検討を行なう予定であるため、今後の研究推進の方向としては、シンポジウムで得られた知見を基に、我が国の次期学習指導要領に向けた示唆へと、検討を進めていきたいと計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本科研の申請時には、初年度である当該年度に米国及び豪州への海外調査を予定していたが、コロナ禍の影響で実施することが困難となったため、海外調査は次年度後半に計画修正を行った。そこで当該年度では、海外調査先として予定していた研究機関ならびに研究者と、オンラインでのミーティングを重ね、連携をとりながら2年目の2021年度秋に、協働で国際シンポジウムをオンラインにて開催する運びとなった。 このような状況によって、当該年度分として申請していた予算を次年度に一部繰り越し、国際シンポジウム開催に向けた文献購入や、専門的知識の共有・謝礼、通訳謝礼として、次年度以降の予算も2年目に前倒して活用するよう計画修正を行った。 最終年度の研究成果公開等の予算は確保してあるため、上記の予算修正は、全体の研究計画には影響は及ぼさないものと考えられる。
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