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2022 年度 実施状況報告書

複モード・テクストの学習を教科横断的に支援する学習者用ガイドブックの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K02776
研究機関日本体育大学

研究代表者

奥泉 香  日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (70409829)

研究分担者 松下 達彦  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00255259)
池野 範男  日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (10151309)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード複モード・テクスト / 教科書教材 / 対人的機能 / 観念構成的機能 / 図像
研究実績の概要

文章と図や写真、表、グラフ等が組み合わされた複モード・テクストを読み解き発信する学習を、言語力を軸としながら教科横断的に活用できるような学習者用ガイドブックの開発を行うべく、本年度は主に生活科、社会科と国語科の教科書教材の分析を行った。ガイドブックで使用する最終的な学習材選定を行うためである。これら検討した学習材との関係でメタ言語の精選や、表現修正を行い、特徴使用語彙の種類や難易度の調整も行った。
具体的には、生活科、社会科と国語科の教科書教材の分析、及びそれらの比較を行うことによって、次のようなことが析出できた。国語科の教科書教材では、文章と図像が反復関係になっている組み合わせが多く、また実証、具体例の例示機能をもった図像の使用が多かった。これに対して、生活科や社会科では、反復、実証、具体例といった機能をもった図像の使用の他に、火事や地震の恐ろしさ・強度を訴えかける「対人的機能」を備えた図像の使用や組み合わせが多いことがわかった。これは、図像や図像と文章部分とを合わせて読み解く目的が、生活科や社会科では、関連する体験や経験などを学習者に発表させたり、対応や防止対策について考えさせたりすることにあるため、「観念構成的機能」としての意味だけでなく、自分事として問題を捉え考えさせやすい「対人的機能」を備えた図像の使用や組み合わせが(無自覚の場合も含め)多様されたのではないかと考えられる。
最終段階では、日本の小・中学校において、上記のプロセスを経て精選した学習材を用いて、実践的な検討を行う計画であったが、地域によっては依然コロナ感染の影響で、本研究メンバーが継続的に学校を訪問して観察を行うことが困難な状況にあったため、この実践的検討は、次年度に持ち越すこととした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の計画では、海外の研究者との連携を図っているため、コロナ禍の影響で当初予定していた海外視察が昨年度まで行えなかったために、オンライン・ミーティングや資料の相互送付で代替的に研究を進めてきた。しかし、実際に先方の学習者が当該教材を使って学習する様子や実態については、オンラインでは限界もあり、その分析や関連するデータ交換に、予定よりも時間を要している状況である。
また、最終段階では、日本の小・中学校において、上記のプロセスを経て精選した学習材を用いて、実践的な検討を行う計画であったが、地域によっては依然コロナ感染の影響で、本研究メンバーが継続的に学校を訪問して観察を行うことが困難な状況にあったため、この実践的検討についても代替的な方法で検討を工夫・進行させている。幸いコロナ感染状況については、一定の落ち着きを見せてきているため、小・中学校における実践的検討・検証については、次年度に持ち越し行わせていただくこととした。

今後の研究の推進方策

本研究課題の今後の推進方策については、これまで国内でできる検討を中心に進めてきたため、上述したようにコロナ感染状況については、一定の落ち着きを見せてきているので、これまでの分析データを活用して、計画していた海外の研究者との協働に駒を進める予定である。具体的には、2023年9月にロンドン大学で開催予定のマルチモーダルに関する国際学会に参加予定である。また、本研究計画に記載していたジャンル研究のメアリー・シュレッペグラル氏とは、同じく本年度アメリカで開催予定のAAAL学会にて、研究交流を行う予定である。
国内の小・中学校における実践的検討・検証については、次年度に持ち越し行わせていただくこととする。
さらに、研究計画に記載していた図像の周辺に配された文章中の特徴使用語彙、及びそれらの難易度分析についても、統計的な手法を活用して実施する予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍を背景に、これまで国内でできる検討を中心に進めてきたため、この感染状況が一定の落ち着きを見せてきているこの期間に、これまでの分析データを活用して、計画していた海外の研究者との協働研究に活用する予定である。具体的には、2023年9月にロンドン大学で開催予定のマルチモーダルに関する国際学会に参加し、協働研究者と議論を行う予定である。また、本研究計画に記載していたジャンル研究のメアリー・シュレッペグラル氏とは、同じく本年度アメリカで開催予定のAAAL学会にて、研究交流を行う予定である。
これらの機会を通して、これまでの本研究課題における国内での取り組みを、相対化させより充実させる予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うちオープンアクセス 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] 母語話者によるマルチモーダル・テクストとしての絵本の意味構築過程の分析 : Eye-tracking解析を採り入れたリーディング・パス分析と問の形成=解決としての思考過程の分析2022

    • 著者名/発表者名
      奥泉香
    • 雑誌名

      日本体育大学紀要

      巻: 51 ページ: 5011-5012

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 文章と図像との混成型テクストの学習を支援する、メタ言語の体系的導入の試み2022

    • 著者名/発表者名
      奥泉香, メアリー・メッケン=ホラリック, レン・アンズワース
    • 雑誌名

      国語科教育

      巻: 91 ページ: 3-8

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] アニメーション批評の専門家と国語科との連携で批評文を学習する試み―ひろしまアニメーションシーズンにおける中学生に焦点を当てたアニメーション教材の活用可能性―2022

    • 著者名/発表者名
      奥泉香, 土井一生, 田中大裕, 金田富起子
    • 雑誌名

      国語科教育研究

      巻: 143 ページ: 295-298

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日本語学術共通語彙の理解度の評価(大学生と小中学生の学年別比較)2022

    • 著者名/発表者名
      田島ますみ・佐藤尚子・松下達彦・笹尾洋介・橋本美香
    • 雑誌名

      リメディアル教育研究

      巻: 16 ページ: 145-159

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 複数テキストの利用による問いの広がりと深まり(批判的思考・創造的思考の育成を目指して)2022

    • 著者名/発表者名
      松下達彦・藤永清乃・須田永遠・武富有香・江頭由美・柿山礼美・片山智子・行田悦子
    • 雑誌名

      日本リメディアル教育学会第17回全国大会発表予稿集

      巻: 17 ページ: 26-29

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 日本語教育での語彙資源の活用 ―現状と展望―2023

    • 著者名/発表者名
      松下達彦
    • 学会等名
      NINJALフォーラム
    • 招待講演
  • [学会発表] コミュニケーションの緩衝地帯「たまり場」の重要性 ―コロナ禍での(日本語科目、留学プログラム、)コミュニケーションの場の変容から考える―2022

    • 著者名/発表者名
      松下達彦
    • 学会等名
      龍谷大学国際社会文化研究所ラウンドテーブル
    • 招待講演
  • [学会発表] アニメーション批評の専門家と国語科との連携で批評文を学習する試み―ひろしまアニメーションシーズンにおける中学生に焦点を当てたアニメーション教材の活用可能性―2022

    • 著者名/発表者名
      奥泉香, 土井一生, 田中大裕, 金田富起子
    • 学会等名
      全国大学国語教育学会
  • [図書] 意味がよくわかるようになるための言語学ー 体系機能言語学への招待ー2022

    • 著者名/発表者名
      照屋一博編 , クリスチャン・マティスン,ジョン・ベイトマン, 奥泉香, ハイジ・バーンズ, マイケル・ハリデー
    • 総ページ数
      328
    • 出版者
      くろしお出版
    • ISBN
      9784874248720
  • [学会・シンポジウム開催] 文章と図像との混成型テクストの学習を支援する、メタ言語の体系的導入の試み―オーストラリアン・カリキュラム2021最終版に向けた取り組み事例から―2022

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公開日: 2023-12-25  

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