研究課題/領域番号 |
20K02786
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
梶井 芳明 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90723841)
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研究分担者 |
森本 康彦 東京学芸大学, ICTセンター, 教授 (10387532)
宮澤 芳光 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 准教授 (70726166)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 学習評価支援システム / 電子ルーブリック / 「探究科」の学習 / 教育実践の効果 / 学習指導・評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,「探究科」の学習で育む資質・能力(コンピテンシー)に関わる電子ルーブリックを用いた学習評価法を,教育心理学と教育工学の知見を踏まえた実証的データに基づいて提案することである。その際,電子ルーブリックには,子どもたちが使用する静止画や動画,音声といった学習記録の収集機能を搭載させる。このことにより,とりわけ子どもたちが学習に取り組む際の好奇心や熱意,こだわりといった,いわゆる資質の側面に関わる学習評価方法について基礎的資料を提言することが可能になると仮定する。 本年度,新型コロナウイルス感染症の影響により,研究対象校との密接な連携が困難であったことから,主に既存の研究成果の整理および再評価に注力した。この取り組みにより,過去のデータを基に教育評価手法の有効なアプローチを再検討し,研究方向性の見直しを行うことが可能となった。 具体的には,探究科の教育評価に関連する電子ルーブリックの有効性を,過去の研究データを基にした文献レビューを通じて評価し,それらの成果を蓄積した。また,研究成果の整理と共有を目的として,学会や研究会がオンラインで開催される中,ウェブベースのプラットフォームを活用した。 さらに,研究対象校との定期的なオンライン会議を通じて,教育現場のニーズと研究成果の適用可能性について意見交換を行い,研究の具体的な方向性を明確化した。これにより,次年度の研究計画をより実践的かつ効果的に進めるための基盤を築くことができたと考える。 この期間の活動は実証的なデータ収集にはつながらなかったものの,理論的および方法論的な洞察を深める重要な機会であり,今後の研究に向けた貴重な準備段階となった。次年度には,これらの前提作業を活かして具体的なフィールドワークおよび実践研究を再開する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度も,昨年度に引き続き,研究活動には一部遅延が生じているが,オンラインツールを活用した遠隔会議を定期的に実施し,研究メンバー間での情報共有と議論を進めている。 具体的には,「授業デザインの提案」において,昨年度に収集したデータの解析と整理を進め,その結果を基に新たな学習評価手法の検討を行っている。また,遠隔教育の普及に伴う新たな学習評価の必要性に対応するため,電子ルーブリックを活用した授業実践の模索を続けており,これに関する報告を国内の学会で発表する準備を進めている。 さらに,教育評価支援システムの環境整備については,昨年度に引き続き,システムの利便性と効率性を向上させるための技術的な改善を行っている。これには,利用児童からのフィードバックを積極的に取り入れ,システムのユーザーインターフェースの改善を進めている。 これらの活動を通じて,研究デザインの見直しや,新たな教育評価方法の開発に向けた基礎を固めており,今後の研究実践およびその検証に向けた準備が進んでいる。これらの前提作業を活かし,具体的なフィールドワークと実践研究を再開する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の推進方策としては,これまでの活動をさらに拡大し,具体的な研究成果を積極的に形成していく方針である。新型コロナウイルス感染症の影響により研究期間を当初の予定から一年延長する。この延長期間を活かし,より深い分析と充実した研究活動を行うことを目指す。 具体的には,昨年度から継続している「電子ルーブリックおよび学習記録の電子データ化が可能となる学習評価支援システムの環境整備および授業デザインの提案」において,実際の教育現場での適用を進める。これには,対象校との密接な連携のもとで,質問紙調査法,授業観察法を用いた実証的なデータ収集を行い,その結果をシステムおよび授業デザインの改善に反映させる予定である。 さらに,得られたデータと結果を,国内の学会や研究誌において発表し,公表することで,教育評価の方法論および実践に関する知見を広めることを目指す。これにより,他の研究者や実践者との知識共有や議論を促進し,研究の発展を図る。 また,研究対象校においては,電子ルーブリックを用いた新しい学習評価方法の試行を予定している。これにより,児童の学習成果をより効果的に評価し,教育の質を向上させるための具体的な方策を提案することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に未使用額が生じた主要な理由は,新型コロナウイルス感染症の影響により,予定していた研究活動に遅れが発生したためである。具体的には,「電子ルーブリックおよび学習記録の電子データ化が可能な学習評価支援システムの環境整備および授業デザインの提案」の実施が予定通りに進まず,必要な調査や観察,そして学会発表への参加が計画通りに実行できなかったことによる。 この状況を受け,研究期間を一年延長した。次年度の計画には,この未使用額を次のように配分する予定である。 まず,学会参加費及び旅費は,新たにスケジュールされた国内の学会への参加に充てる。これにより,最新の研究成果を発表し,他の研究者との交流を図ることで,研究の質をさらに高める。 また,人件費については,新たに計画された調査や観察の実施に必要な研究アシスタント(学生アルバイト)の謝金に割り当てる。これには,データ収集,分析,および報告書の作成を効率的に進めるための支出が含まれる。これらの措置により,遅れている研究活動を迅速に進め,次年度の研究目標達成に向けた体制を整えることを目指す。
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