研究課題/領域番号 |
20K02802
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
田巻 以津香 東海大学, 体育学部, 講師 (50710935)
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研究分担者 |
山崎 朱音 静岡大学, 教育学部, 講師 (40609301)
栫 ちか子 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 講師 (70557082)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リズムダンス / 現代的なリズムのダンス / 学習内容の明確化 / 非習得型のダンス学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はリズム系ダンスの特性と学習内容を明確化及び構造化し、モデルとなる指導法を開発することを目的としている。リズム系ダンスの指導については、学校現場での実態と学習指導要領が提示する内容との乖離が問題視されている。リズム系ダンスは表現系ダンスと同様に自由に表現して踊るダンスであるとされているにも関わらず、動画の模倣やステップの一斉指導による習得型の指導法が選択されることが多い背景には、リズム系ダンスの種目特性と学習内容の不明確さがある。これまで申請者らは舞踊教育専門家を対象にしたインタビュー調査から学習内容の明確化を試みてきた。しかし、まだ具体的な動きや運動との結びつきが見える段階までは至っていないため、本研究では更なる具体化を目指している。 そのため、初年度にあたる令和2年度は舞踊教育、舞踊関連文献の調査と共同研究者との研究討議から、「リズム」とは何か、「リズムに乗る」とは具体的にどのような動き、技能なのかについて再確認する作業から始めた。結果、関連文献においては、「リズム」とは単に機械的・規則的な反復運動を指すのではなく、ある種生命的なゆらぎを含んだ反復性を有するものとして捉えられていることが明らかとなった。そして「リズムに乗る」とは外的刺激である音楽に対して、単に動きを合わせるのではなく、音楽の持つリズムのゆらぎ感やうねりを身体で感受し、それらに身体の動きを同調させることとして捉えられていることが分かった。しかし具体的な動きとして提示するところまでは至ることができなかった。 上記の文献研究、討議を基に、ストリートダンサーへのインタビュー調査を実施し、より具体化・明確化をする予定であり、現在調査を実施している最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は研究討議を重ねながら先行研究の精読を進めることで文献研究を進める予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大により対面での研究会議を実施することができなかった。Web会議システムを使用した会議は4回実施したが対面での実施に比べ討議を深めることができなかった。また、インタビュイーとして依頼予定だったダンサーの多くが、イベントやダンス指導のオンライン化への対応で多忙となり、インタビュー調査を予定通り進めることも叶わなかったため、当初の予定よりも遅れてしまっている。遠隔授業対応のための業務過多により十分な研究時間を確保することができなかったことも、遅延の大きな要因となった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症対策による遠隔授業対応については、学内のWi-Fi環境が整ったことと、対面授業が再開されつつあることで、昨年度に比べてかなり業務量が削減される見通しが立った。また、3月に入ってからインタビュイーの確保も順調に進んでいるため、インタビュー調査終了の見通しも立った。夏季休暇の授業外期間を利用しデータ分析を終えたい。 さらに共同研究者の所属先に変更があり研究会議を開催しやすい環境となったことから、指導案の作成と大学授業における実践を進めたい。 成果発表についても、昨年度は実施することができなかった。投稿論文は執筆途中であるため、現在執筆中のものを8月までに、インタビュー調査の分析結果をまとめたものを3月までに論文としてまとめて投稿する。その前段階として、9月の日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会にてインタビュー調査の分析結果の一部を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究会議、学会発表のための旅費交通費を計上していたが、新型コロナウイルス感染症拡大により全てオンライン化されたため使用がなかった。また、インタビュー調査の進捗も予定より遅れが生じたため謝礼や文字起こしの費用の支出がなかった。2年目は予定していた研究会議も対面で可能なものは実施予定であるため、初年度の遅れを取り戻すべく会議の計画を立ててゆきたい。学会については今年度もオンライン化の傾向が高い。したがった3年目以降に国際学会での発表を視野に入れ、準備を進めていきたい。インタビュー調査については2年目に全て終了予定であるため、2年目にてインタビュー調査関連予算は全て使用予定である。
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