研究課題/領域番号 |
20K02807
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
角田 将士 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70432698)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 社会科授業 / 見方・考え方 / 戦争や平和 |
研究実績の概要 |
戦後75年を経て、戦争体験が過去のものとなり、戦争のあり方自体も大きく変化しつつある今日において、何をどう教えれば、子どもたちにとって意義深い「戦争と平和」についての学びになるのか。本研究は、学校教育において「戦争と平和」を扱う中核的教科である社会科を対象に、戦争に関する史実をどう教えるかではなく、「戦争の遺し方やその多様性」に着目し、戦争・平和博物館と連携したプログラムを開発することで、今日的に意義ある「戦争と平和」についての学びのあり方を具体的に示そうとするものであった。 2021年度は、【課題①】「博物館と連携した『戦争と平和』に関する社会科授業は何をめざしどのように学ぶべきか」ということについて、コロナ禍で制限された形ではあったものの小・中学校における戦争・平和学習の実践例の分析を行い、開発プログラムにおける目標・方法論について検討し、(もちろん現在もリアル戦争体験時代にある国々もあるが)「ポスト戦争体験時代」においては、「戦争体験を継承するとはどういうことか」「なぜ戦争体験の継承は必要なのか」といった問いについて探究することの重要性を明らかにすることができた。また、こうした見通しを持って、日本農業新聞社より依頼を受けた全国の農業高校における戦争・平和教育実践の実態調査に参画し、本研究の社会的意義を確かめることができた(「学ぶ農学生たちの戦争」日本農業新聞2021.8.11)。 また、【課題②】「博物館と連携した『戦争と平和』に関する社会科授業は何を取り上げるべきか」ということについては、立命館大学国際平和ミュージアムが2018年に開催した企画展「8月6日」に関する資料を分析し、「戦争体験の継承」の意味を問うた同企画が、単元(授業)開発のための有益な手がかりとなることを明らかにすることができた。 こうした成果を学校現場を対象とした論稿にまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【課題①】「博物館と連携した『戦争と平和』に関する社会科授業は何をめざしどのように学ぶべきか」については、コロナ禍の影響を受けて学校現場の実態調査を十分に行うことができなかったものの、いくつかの優れた実践を分析検討し、そこから求められる授業のあり方についての示唆を得ることができた。 【課題②】「博物館と連携した『戦争と平和』に関する社会科授業は何を取り上げるべきか」ということについても、全国の博物館の実態調査を十分に行うことができなかったものの、立命館大学国際平和ミュージアムに協力を要請し、同ミュージアムの企画展の一つが本研究に対する極めて有益な手がかりとなることを明らかにすることができた。 以上を踏まえて、【課題③】「博物館と連携した『戦争と平和』に関する社会科授業はどのようなものであり、そこにはどのような教育的効果が確認できたか」ということについての一定の方向性を見出すことができた。2020、2021年度とコロナ禍の影響を受けて、当初の計画した大規模な実態調査は実現できていないものの、優れた実践を対象とすることで、研究の趣旨や目的に基づいておおむね進展できていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
【課題③】「博物館と連携した『戦争と平和』に関する社会科授業はどのようなものであり、そこにはどのような教育的効果が確認できたか」ということについて、これまでの成果を踏まえて、具体的な単元(授業)プランを構想するとともに、学校現場での検証授業を行うために、研究協力校の選定と依頼を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響を受けて、予定していた学校現場を対象とした調査活動を行うことができなかった。また、関連学会もオンラインでの大会開催となったために旅費執行が生じず、多くの未使用額が生じることとなった。2021年度の未使用額については、主に2022年度の調査活動や資料収集のための費用として執行を予定している。
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