研究課題/領域番号 |
20K02812
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
中島 憲子 中村学園大学, 教育学部, 准教授 (00301721)
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研究分担者 |
海野 勇三 愛知学院大学, 教養部, 教授 (30151955)
黒川 哲也 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (50390258)
續木 智彦 西南学院大学, 人間科学部, 准教授 (60468791)
鐘ケ江 淳一 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (90185918)
口野 隆史 京都橘大学, 発達教育学部, 教授 (60192027)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スポーツ・リテラシー / カリキュラム改革 / 体育 / 学びの履歴 / スポーツ観 / スポーツ価値意識 / 教員養成システム / 個別最適化 |
研究実績の概要 |
本年度(2年目)においては、昨年度に確定した「学びの履歴測定バッテリー」を用いて過去の調査データを用いて分析を行った。そこで、学習指導要領の改訂に伴った体育授業の学びの実態(2018年調査)を過去(2007,2010年調査)の調査結果と比較した。 まずはじめに、小学体育の学習成果を構成するすべての因子で、また、中学体育の「共同・共感」を除く3因子で前調査より有意に高い得点を示した。特に、全学校階梯での「実践的知識・理解」、小学体育、中学体育での「運動有能感」の高得点は、「体育的学力」の充実を図り、技能や知識の育成に焦点化された2008年改訂指導要領下での体育授業の一定の成果を示唆しているものと考えられる。一方で、高校体育では、小・中学体育に比べ、前調査の得点との変化はみられなかった。次に、体育の愛好度(好嫌)をみてみると、特に中学、高校の「嫌い」「大嫌い」群が増加していた。つまり、先の「学習成果」の高まりが、「好き」「大好き」群において顕著であったことを考えれば、「嫌い」「大嫌い」群においては「体育的学力の獲得」が十分に保障されていないことを示唆していると捉えることができる。このように、とりわけ体育の愛好度の違いによる「体育的学力」の獲得における格差を鑑みると、現在その導入が強調されている「個別最適化学習」は「嫌い」「大嫌い」群の子どもたちに「体育的学力」を保障するものになり得るのかどうかについては、慎重に検討される必要があると捉えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年同様、コロナ禍における体育授業の実態と成果となるため、新規調査は実施を見送った。そこで、コロナ禍において生み出された体育授業の学習形態変容を意図的に調査分析とする新機軸を構築し、協同学習の影響における学習成果への影響を明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、学習指導要領の新旧改訂比較を全階梯で実施し、日本における体育カリキュラム改訂の妥当性を総合的に検討する。さらに、導かれた成果と課題については各学会を通じて報告する予定である。さらに、コロナ禍において体育授業の学習形態が変容したことによって生じた結果においても新機軸として構築するため、今年度は台湾における「学びの履歴測定バッテリー」の調査を実施する予定とした(9月)。日本における調査は次年度新学期初頭に実施するため、本研究を一年延長する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、共同研究のための研究協議用旅費および現地調査(国内、国外)を予定していた。今般のコロナ禍において、旅費の使用が計画通りにいかず、リモートでの研究協議で進めざるを得なかったことによって残高が生じた。また「体育授業における学びの履歴調査」はコロナ禍における体育授業の在り方そのものに影響を受けるため、調査実施を延期していたが、新たに授業の進め方として「協同学習」の有無における学習成果への影響等を加えて、次年度および再来年(研究期間延長の見通し)に向けた新機軸を立てられたことで、予定使用額が遂行されるように計画した。
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