本研究は、近年必修化され開講される教職科目のうち「総合的な学習の時間」に関する指導法の充実に資する内容を提言するために、この領域の学校現場での実践研究の成果やあり方に焦点化して調査研究を行うものである。さらに、本調査・分析の進展によって得られた「総合的な学習の時間」指導に関する知見を大学での教員養成・教師教育の実践指導力及び実践研究力育成の成果を現場へ還元するプロセスも含めて検証することにした。 研究代表者が担当・実施している科目「総合的な学習の時間」の指導法および総合的な学習に関連する専門科目において、上記の検討で明らかになった知見を教材化・カリキュラム化して実施し、その評価・分析を行った。本年度は大学院科目「総合・道徳開発演習」「現代的・地域的教育課題の共同探求」を実施するなかで、受講生が地域「埼玉」「地域でつながりかかわる場」をテーマにした総合の単元計画の作成を進めるなかで、本研究で蓄積した知見を受講生に示すことができた。
なお、中教審答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~」は、本研究申請時にはまだ公開されていなかったものの、本研究においても総合的な学習の時間における授業改善の視点として取り入れることとした。研究計画で示した実践研究対象校の一つである奈良女子大学附属小学校は、大正期以来のわが国の総合的な学習の時間の源流である合科学習の実践と併せて、「令和の日本型学校教育」の理念につながる実践研究校として注目されている。本研究においても、この点を踏まえて研究を進めた。
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