研究課題/領域番号 |
20K02818
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高木 幸子 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (70377175)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教師としての学び / 教職経験 / 質問紙調査 / テキスト分析 |
研究実績の概要 |
本研究は,これからの時代を生きる教師を支えるためにどのような支援が必要なのかを明らかにすることを目的として,3年間計画で進める研究である。研究1年目は,2004~2019年度に教員養成学部を卒業した62人を対象に,質問紙による調査を行った。質問内容は,基本情報(5項目),職務に対する意識(15項目),教職に対する充実感や課題(13項目)にやりがいや課題を加えた34項目で構成した。回答を得た教職経験のある40人を卒業後の年数によって,卒業後5年以内の集団(13人),6~11年の集団(14人),11年以上の集団(13人)に3区分し,記述内容をKH-coderを用いてテキスト分析した。 分析の結果,「学級経営や学習指導」に関して,卒業後5年以内の教員は,年間指導計画や教材の準備,授業実現,子供の理解と対応など,教職生活の基盤となるほとんどの事柄を不安に感じて過ごしていた。「教師として大切にしていること」は,共通して子供を大切にすることであった。卒業後すぐの時期は,自身が必要な事柄を身に付けることに注力し,経験とともに子供の多様さの理解やその対応へと広がりを見せることが記述内容から整理できた。「教師としての悩み」として,保護者対応の難しさが共通に示された。経験の浅いうちは自身の力量不足に悩み,経験を重ねる中で実現しようとする事柄が実現できないこと,子供や保護者に取り組みの意図が伝わらないことに悩んでいた。「楽しいと感じたこと」は,子供の成長や満足する様子,子供が自身の成長を実感している姿を確認した時であった。これらの結果は、回答を得た40人に分析結果と基にしたデータを合わせて情報提供し報告した。 「授業観察教員の選考」は,新型コロナ感染症予防への対応が求められることから,授業観察の打診は控え,質問紙調査の回答を基に候補者を絞り込んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目は,「現況調査」「授業観察教員の選考と依頼」「授業観察と聞き取り」を行う計画であった。「現況調査」は計画通り進めることができた。「授業観察教員の選考と依頼」については,授業観察を依頼できる現職教員の候補の選考までを進めた。しかし,学校に赴いて授業観察をさせていただくことや,県を越えて移動することが難しい事態となったことから,1年目に具体的な授業観察の依頼を行うことは取りやめた。 したがって,当初計画の「授業観察及び聞き取り」については,2年目の新型コロナ感染症の感染状況を基に研究の進め方について方法を見直すなどをして調整後、進める。
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今後の研究の推進方策 |
1年目n研究で計画通りに進められていない「授業観察教員の選考と依頼」については,研究2年目の新型コロナ感染症の拡大状況に基づき歓談する。その状況が厳しく,県外移動の制限がかかる状況であれば,県内の卒業生を対象に授業観察や聞き取り調査を実施するよう観察対象者を調整して進める。また,学校に入っての授業観察が許可されないことも考えられるので,その場合は,授業提供協力者と相談し,児童生徒の肖像権などの個人情報管理を確実にすることを条件に授業ビデオ記録の提供を依頼して進める。その場合は,聞き取り調査についても,オンライン調査に切り替えて実施可能かどうかを、協力者と相談し可能な範囲で進める。 このように,2年目の研究は,新型コロナ感染症拡大の状況に合わせて,複数の方法を準備しておき,状況に合う方法を選択しながら進める。いずれも計画している研究内容を実施できるよう複数の方法を準備した上で選択しながら取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じたのは,申請時に計画していた「授業観察と聞き取り」のための旅費が使用されなかったことによる。 研究2年目に感染拡大の状況をみながら,可能な範囲で授業観察及び聞き取りを行い,当該補助金を使用する。また,授業観察が難しい状況であれば,授業ビデオの記録をお願いするためのメディア媒体や機材などの環境設定のために補助金を使用する。
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