研究課題/領域番号 |
20K02822
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
河瀬 諭 神戸学院大学, 心理学部, 准教授 (90507469)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 音楽 / グルーヴ / ノリ / 身体 / 感情 / 個人差 |
研究実績の概要 |
身体活動を伴った音楽活動は、伝統的な舞踊や儀式から現代のエクササイズや音楽ライブまで幅広く見られる。近年、音楽聴取によって身体感覚が引き起こされる「グルーヴ」が注目されている。グルーヴの生起プロセスを明らかにすることは、聴覚と運動の連絡のみならず、エクササイズなどの音楽を用いた様々な実践場面への基礎的な知見を提供する。一方で、グルーヴや音楽に合わせた運動には個人差が存在することが知られている。例えば、音楽と身体運動を結びつけにくい人がいることや、音楽経験などによってグルーヴが異なることが示唆されている。グルーヴには、覚醒や報酬系の関与も示唆されている。したがって、グルーヴの生起プロセスや個人差をもたらす要因を解明することは、人の音楽活動の源泉を理解するのみならず、聴覚と運動の連絡や、感情なども含めた、統合的な認知メカニズムの解明に貢献する。 本年度は、新たな調査を実施した。本調査はグルーヴと身体運動の関係を実践場面から探るものであり、多くのデータを得ることができた。また、以前に実施した調査データの分析も進め、国内の研究会で発表し、今後も国際会議と国内会議で発表する予定である。研究会では、テキストマイニングを用いてグルーヴの概念整理を行った。他にも、収集したデータからは、グルーヴに個人差をもたらす要因は複数あることが示唆されている。具体的には、聴取者の年齢や性別と、グルーヴをもたらす音楽のテンポの関係や、聴取時の状態によってグルーヴの評定が異なることなどを検討した。このことは、グルーヴの認知メカニズムには、多様な経路が存在することを示唆している。さらに、エクササイズなどの実践場面への応用を考えた際に、パーソナライズの必要性を示唆するものである。さらに、個人差の計測に使用するためのグルーヴを測定する尺度の英語版を日本語した。これはグルーヴの国際比較に資する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に実施した調査の分析を進め、成果発表の準備を進めるとともに、新たな調査を実施することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、既に収集しているデータの成果発表を進めるとともに、新たな調査から得られたデータの分析も進める。また、アウトリーチ活動も積極的に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、当初の研究計画から変更があったため。実験室実験をオンライン実験に変更することで、次年度使用額が生じた。
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