「子どもの内面と行動の構造」を可視化するアセスメントシステムを開発するために、先行研究をもとに、①学習に対する意識と行動にかかる項目と②学校生活における「生活規範」にかかる意識と行動にかかる項目を策定すると共に、③子どもの自尊感情(本研究では「自分への信頼」とした)と④教師、保護者、友達への信頼にかかる項目を策定した。さらに、⑤「社会貢献」の項目と⑥不登校の要因にもなる学級集団への意識や認知にかかる子どもが感じている学級集団への「心理的安全性」のアセスメント項目を追加して策定した。 このように策定したアセスメントアンケートを実践研究校で実施し、因子分析等を通してアンケート項目の整理を行うとともに、子どもの学びや生活での行動が子どもの内面(自尊感情)とどのように構造的に繋がっているのか、さらには「心理的安全性」との関係を含めて共分散構造分析ソフトを用いて解析した。結果、「自他信頼」を基底要因として、「学びに向かう力」と「人と繋がる力」が支えられ、さらにその上に「社会貢献」が構成される構造的な繋がりが可視化された。 さらに、この子どもの内面と行動の構造図を実践研究校(高等学校)の全教職員で共有し、この構造図に適合した「効果のある指導」を組織的に策定した。全教職員で策定し、共有された子どもの内面(自尊感情)を整える勇気づけの言葉掛けが「ボイスシャワー」として組織的に実施された。さらに、子ども同士の信頼関係を醸成し、「心理的安全性」を高める「相互承認の仕組み」が導入された。 結果、子どもの「自分への信頼(自尊感情)」の高まりと学びや生活の安定がデータから確認された。 複数の実践研究校での研究を蓄積することによって、校種を超えて共通する子どもの内面と行動の構造が検出されてきた。
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