研究課題/領域番号 |
20K02834
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
望月 一枝 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60431615)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 実践的・体験的学習 / シティズンシップ教育 / 家庭科 / 言語的コミュニケーション / 情動的コミュニケーション / 生活世界の変容 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、家庭科の実践的・体験的学習とシティズンシップ教育の関連を検証し、SDGs時代に教育に求められている生活の変容を促す家庭科教育の理論と評価を解明することである。具体的には、衣、食、住などの実践的・体験的な学習とシティズンシップをつなぐ授業を開発して授業実践分析や家庭科教師へのインタビュー調査によって、育まれた技能と価値観や倫理観などを評価する。 本年度はSDGs時代における「自分と社会を変える」家庭科教育の可能性と意義を考えた。まず、ハーバーマスの「生活世界の植民地化」概念を手がかりに近年の生活の変容を考察した。つぎに現象学者山口の「生活世界を基づける情動的コミュニケーションと言語的コミュニケーションの関係」について、互いがそれぞれの基づけとなっていることを確認した。そして、家庭科の実践的体験的学習の効果に関する先行研究を保育実習、調理実習、被服実習について考察した。最後に、家庭科シティズンシップ教育と実践的体験的学習を研究に位置づける、親密圏と公共圏をつなぐ共感応答性に着目することを析出した。 結果、先行研究のなかで最も研究が進んでいるのは、保育分野の研究であり、情動的な行為と言語的な行為のズレを析出した研究に、体験後のナラティブでは子どもをかわいいと言いながら、ビデオ観察の記録では服に手を突っ込み、直接子どもとふれられない中学生の心理的身体的葛藤を解明している研究(叶内・倉持2015)などがあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究のまとめとして、学会誌に論文発表ができたから。
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今後の研究の推進方策 |
特に本年度はコロナ禍のためフィールド研究が難しかった。今後は、Zoomでの家庭科教師へのインタビューを進め、コロナの状況が改善されたときは、実践的体験的学習の参加観察を学校現場で実施し、目的に接近したい。また、家庭科、学校カリキュラム、ケア、芸術心理学の研究会(Zoom研究会)などに積極的に参加し、理論研究のための資料収集をしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、交通費がゼロとなった。コロナが収まり次第、対面の研究会や学会、学校現場への参加観察を進めたい。
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