研究課題/領域番号 |
20K02839
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
金山 元春 天理大学, 人間学部, 教授 (00457409)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教員 / 心理職 / 協働 / 解決志向 / 研修 |
研究実績の概要 |
解決志向アプローチ(Solution-Focused Approach: SFA)とは、人の病理や問題点に目を向け、それを治療しようとする、従来からある問題志向のカウンセリングとは異なり、問題にではなく、可能性のあるところ、少しでも変わりうるところに焦点を当て、人々のもつリソース(資源)や強みを活かそうとするアプローチである。 SFAでは児童生徒がもつ課題解決能力を内的リソースと呼び、これを最も尊重する。治療の場ではなく、教育の場である学校ではこの内的リソースを活かした援助が求められる。また、学校現場で援助を行うにあたっては、個人と環境との相互作用に焦点を当て、児童生徒の周囲にある環境へも積極的に働きかけていく必要がある。SFAでは環境における外的リソースを活かしてチーム(教員、スクールカウンセラー、保護者等)で児童生徒を援助することを重視する。したがって、SFAは、教員と心理職が協働して児童生徒を「育てる」ために、両者が共に学ぶアプローチとして最適なものと考えられる。 令和4年度には、引き続き生徒指導・教育相談やSFAに関する資料・文献を収集しながら、これまでの研究知見を踏まえ、「チーム学校」時代におけるSFAの活用のあり方について検討を深めた。また、対人接触、移動、集合等が大きく制限される社会状況においても可能な研修のあり方について検討し、少人数による対面形式の研修会を実施した。 さらに、「解決志向」を狭義には捉えず、児童生徒が自ら課題を解決する力を積極的に開発することを目指す取り組み(たとえば、クラス会議、構成的グループエンカウンター、ソーシャルスキルトレーニング、認知行動療法、ポジティブ行動支援、チーム援助)に関しても引き続き研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
少人数による対面形式の研修会には一定の成果があったが、対人接触、移動、集合等が制限される社会状況は続いており、実践研究を十分に行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
対人接触、移動、集合等に制限がある状況でも可能な研修のあり方について引き続き検討する。 「解決志向」を狭義には捉えず、児童生徒が自ら課題を解決する力を積極的に開発することを目指す取り組みに関する研究を引き続き進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
対人接触、移動、集合等が大きく制限される社会状況において、研修会の実施や学会・研究会等への参加に伴う費用が抑制されたことによる。 この状況で可能な研修会の実現に伴う費用にあてる予定である。
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