研究課題/領域番号 |
20K02843
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
佐々 祐之 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30315387)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教職課程コアカリキュラム / 教科特性 / 非認知能力 / 教員養成カリキュラム |
研究実績の概要 |
本研究の目的である算数・数学科の教科特性を踏まえた教職課程コアカリキュラムの研究・開発のために,本年度は,教員養成カリキュラムとして先進的な取り組みをしている教員養成系大学,関係機関への聞き取り調査を予定していたが,令和2年度に引き続いて,新型コロナウィルス感染症の影響で,北海道外への聞き取り調査等は実施できなかった。 一方で,本研究におけるコアカリキュラム開発の視点として設定していた算数・数学科の指導に関わる非認知的能力の特性の把握に関しては,小学校教師を対象とした調査を実施し,非認知能力に関わる教師の評価視点についての分析を行うことができた。これまでは,非認知能力を「経験の開放性(O)」「勤勉性(C)」「外向性(E)」「協調性(A)」「情緒安定性(N)」という5つの性格特性(OCEAN)によってとらえる枠組みを用いてきたが,「自己認識」「社会認識」「自己マネジメント」「関係マネジメント」「意思決定」の5つの社会情動的スキル(SECQ)で捉えた調査問題を新たに作成し,小学校教員を対象とした調査を改めて実施し,算数科の内容・領域の学習指導において,教師がどのような視点で非認知能力を評価しようとしているかについて統計的な手法を用いて分析を行った。それらの結果については,令和4年6月に開催予定の日本数学教育学会春期研究大会で発表予定である。 また,本学の教職大学院の改組に関わって構想した“教員養成学”を基盤としたカリキュラムの開発については,その基本理念と具体化の経緯についてまとめ,北海道教育大学大学院高度教職実践専攻研究紀要に論文を掲載することができた。教職大学院における教員養成カリキュラムの理念的枠組みをまとめることができたことは,本研究課題の目指す教職課程コアカリキュラムの開発の基盤となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度も昨年度に引き続き,新型コロナウィルスの影響で,教員養成大学等関係機関に対する教職課程カリキュラムの状況等に関する聞き取り調査が実施できなかった。リモートによる聞き取りについても検討したが,デュプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,シラバスなど,多様な資料の確認等が必要となるため,具体的事項については,直接対面による聞き取り調査を実施する必要があるため,この部分の研究に遅れがある状況である。 算数・数学指導における非認知能力の捉え方については,小学校教師に対する調査の実施と分析等,一定程度の進展がみられ,教職大学院のカリキュラム構成の理念についてもおおむねまとめることができたが,教員養成大学等への聞き取りに関しては,状況を見つつ,最終年度に実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
先進的な取り組みを行っている教員養成系大学への聞き取り調査については,新型コロナウィルス感染症の状況を見ながら,可能な限り実施していきたい。また,直接的な聞き取りが難しい場合には,リモートで入手可能な資料に限定して情報の収集・分析を行い,教職課程コアカリキュラムの検討を進めたい。 また,算数・数学指導における非認知能力の捉え方や,教職大学院レベルにおける教員養成カリキュラムの理念的枠組みに関しては,一定程度の成果を出せているため,それらとの整合性をとりつつ,収集した資料をもとに,教職課程コアカリキュラムの構想をまとめていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に引き続き,調査旅費を計上していたが,新型コロナウィルス感染症により北海道外への調査が実施できなかったため,次年度使用額が生じている。令和4年度は,状況を見ながら,道外への聞き取り調査を実施するとともに,研究発表についても旅費支出を予定している。
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