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2022 年度 実施状況報告書

数学的探究における行為主体による評価・改善を促進するための教材開発と評価

研究課題

研究課題/領域番号 20K02852
研究機関信州大学

研究代表者

茅野 公穗  信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20400658)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード中学校数学 / 数学的探究 / 開発原理 / 評価
研究実績の概要

本年度は,数学的探究における行為主体による評価・改善を促進するための教材開発に関して,以下の成果を得た。
●教材(暫定版)を用いた授業データの分析
領域「数と式」の教材として,根号の付いた数と出会った生徒が,小学校算数を含めてこれまで数について何を議論してきたのか(学びの履歴)を俯瞰し,生徒自ら学びの羅針盤をつくることをねらいとする授業を実施した。そのデータ分析から,これまでの数と同様,根号の付いた数についての四則計算ができないかと議論が進展したこと,また,根号の付いた数の大小を比べることができるのかという考察が進展したことを確認することができた。加えて,√a+√b=√(a+b)となるのではないかという推測に対して,近似値を用い√2+√3≠√5と反例を挙げて成り立たないことを説明したり,平方根を考えたときの場面の意味に基づいて√2+√2=√8となることを説明したり,既知の数のかけ算である2×6=12に照らして√4×√36=√144となることから√a×√b=√(ab)と推測したりすることを確認することができた。いずれも,問題解決の状況「状況を厳密な表現を用いずに表し,証明を含め問題解決を基に状況を明確にしたり,新たな状況を生み出したりすることができる余地がある課題を用いること」(教材開発の原理(暫定版)(1))あるいは探究目的に照らした評価・改善の初期設定「探究する動機・目的に照らして素朴な証明や解決方法を評価・改善する機会を初期から設定すること」(同原理(4))の下で意図していた活動である。同時に,これらは,数について生徒の認識を深めたことを示すものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

教材開発原理(暫定版)に基づいた教材(暫定版)を用いた授業の実施ならびにデータの質的な分析は,授業の実施に一部コロナ禍の制約を受けつつも概ね順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

教材開発原理(改訂版)に基づき教材(改訂版)開発を進める。また,開発した教材(改訂版)を用いた授業を新型コロナウイルス感染症の感染状況に鑑みつつ実施し,ビデオ記録や記述物の複写等のデータ収集及びデータの質的な分析を通して,改訂による促進性,阻害性を解明する。教材(改訂版)を用いた授業がコロナ禍によって実施できないときには,意図した活動をよりよく実現するために,本研究目的以外で得ているデータとの照合によって教材(改訂版)を吟味し,改善点を特定する。

次年度使用額が生じた理由

(理由)主として,コロナ禍において国内外学会が延期あるいはオンライン開催等に変更されたため旅費が不要となり,次年度使用額が生じることとなった。
(使用計画)対面による学会開催が再開された際には,日本の学習環境等に特化した情報収集を充実するために,国内学会への参加旅費に使用する。その際,授業を実施していただく研究協力者の教諭を含めて対面による情報収集・意見交換を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 数学教育の内容・領域に固有な非認知能力に対する教師による評価: 算数科の領域「図形」における評価の特徴2022

    • 著者名/発表者名
      茅野公穗, 宮川健, 山崎美穂, 吉川厚
    • 雑誌名

      日本数学教育学会 第10回春期研究大会論文集

      巻: - ページ: 47-54

  • [学会発表] 実生活で有機的に活用できる資質・能力を育てる科学教育カリキュラムの開発(4):算数をベースにした小学校中学年かがく領域におけるSTEAM 教育の実践を事例に2022

    • 著者名/発表者名
      島田英一郎・三崎隆・茅野公穗・村松浩幸・谷塚光典
    • 学会等名
      日本科学教育学会第46回年会

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公開日: 2023-12-25  

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