研究課題
本研究の目的は,「証明すること」を核にした中・高等学校を一貫する数学科教材を開発し,その教材を用いた授業の構成原理を明らかにすることであった。この研究において「証明すること」を介して数学的現象の理解を拡張・深化させることは,中・高等学校数学科指導で数学的な創造力・構造力や判断力を高める一つの具体策と考える。特に,本研究では,中高の学習内容を接続する図形領域の証明教材を開発し,図形に関する定理になされた複数の証明を比較・検討する場面を含む授業を構成して実施して,その授業を質的分析法で検討して構成原理を導出することを目指した。本研究の最終年度では,「中高一貫教育を意識した教材や授業構成原理の特徴は何か」という研究上の問いに答えることが大きな目標であった。具体的には,中高一貫校の協力を得て,「三角形の角の二等分線と対辺分割に関する定理の証明」の比較・検討させる授業の教材案を作成し,教員養成系学部の中学校教員志望学生に調査問題と提示した。当該の4名の学生たちがいかにして証明を比較・検討して証明を探究していくのかを詳細に捉えることによって,中学3年生の授業計画をし,その授業の実施に至った。これらの実践研究から「中学3年生から高校数学への接続」と「高校数学から中学数学へのふり返りと再理解」によって中高一貫する数学科授業の特徴を明らかにすることができた(渡邊・小山,2022)。本研究の成果は,渡邊・小山(2022)で「追証明」という新たな証明の学習指導の方法論を示したこと,渡邊・小山(2023)で証明の多様性を生かした相互作用を分析するための枠組みを示したこと,さらに,空間図形領域における証明の学習指導の在り方に関する研究(渡邊,2020,2021,2022)に表すことができた。とりわけ,後者2つの成果は,今後の本課題研究への発展が含まれるものでもある。
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Proceedings of the 15th Conference of the International Congress on Mathematical Education.
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Proceedings of the 47th Conference of the International Group for the Psychology of Mathematics Education
日本数学教育学会第11回春期研究発表大会論文集
巻: - ページ: 197-204