研究課題/領域番号 |
20K02864
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
金井 香里 武蔵大学, 教職課程, 教授 (20722838)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 文化の多様性に対応した授業実践 / 教師教育 / カリキュラム開発 / 文化的・言語的マイノリティの子ども / 教育の画一化 / 国際理解教育 |
研究実績の概要 |
子どもたちの文化の多様性に対応した授業実践を行いうる教師を育成するためのカリキュラム開発という本研究の最終目標に向け、本年度は、日本の学校・教室という文脈に則した(文化の多様性に対応した)授業実践方法の理論的枠組みを検討するための土台作りとして、以下に取り組んだ。 ①文献講読ならびに(元)教員を対象としたききとり調査を通じて、授業実践者である教師の置かれた日本の学校・教室という文脈について整理検討した。ききとりは、関東地方の教員または教員経験者から協力を得ることができた。 ②自らの専門知識や問題意識に基づいた独自の実践、あるいは、地域や教室の子どもたちの実態に則した独自の授業実践を行う教師を対象としたききとり調査を行い、日本の学校という文脈で授業実践を行うなかで経験した困難や葛藤、葛藤への対処等について明らかにした。ききとりは、中部地方の小学校または中学校で教科や総合的な学習の時間等の指導を通じて国際理解教育を行っている教員からの協力を得ることができた。 ③国内および海外の学校でのフィールド調査を通じて、文化的言語的マイノリティの子どもの学習状況、子どもたちへの教師の関わりなどについて観察するとともに、学校の制度的対応・方針等の情報を収集した。国内では中部地方、海外では英国ロンドン市内の学校(いずれも文化的言語的マイノリティの集住する地域を学区域に含む)を訪問し、授業の観察を行ったほか、授業者・校長などからききとりを行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究全体の進捗状況は、2023年度に入るまで、新型コロナウィルスの感染予防のため国内外でのフィールド調査が実施困難であったことの影響で、上記の通りである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、ようやく日本(関東・中部地方)の教員、教員経験者たちのききとり調査と、国内外の公立学校でのフィールド調査の実施が叶った(海外の調査については、当初予定していた米国の学校でのフィールド調査は叶わず英国での調査となったものの、本研究の遂行上有益な知見を得ることができた)。そこで今後、本年度の調査で得られたテクストないしデータをもとに、文化の多様性に対応した授業を実践しうる教師を育成するための教師教育カリキュラムの理論的枠組みを構築する。そのうえで、具体的に教職課程の教育課程ではどのようなカリキュラム展開をすることができるのかについて、引き続き、可能性を探ることにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加した国内学会研究大会がオンラインでの実施となったこと、またききとり調査が対象者の日程調整協力により一部まとまった日程での実施となったことにより、旅費の未使用額が生じた。次年度参加する学会研究大会やききとり調査のための旅費、謝金などで使用する予定である。
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備考 |
金井香里「包摂的自由ということばとの出あい 国立地下鉄道自由センターを訪れて」『新英語教育』第652号、2023年12月、高文研
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