研究課題
今年度は寛容性育成に関する①原理的研究、②方法論的研究、③実践的研究、④教師養成研究、⑤社会心理学研究の5つの方向から総合的な研究が展開できた。①原理的研究に関しては、アリストテレス、ロック、ボルテールの寛容性に関する哲学的所見を社会科教育及び関連する教科外教育に応用するための検討を行った。②方法論的研究に関しては、アメリカ合衆国の中高生を対象とした憲法上の適正手続きに関する学習指導計画を分析し、寛容性を社会的に担保する適正手続きの指導方法を検討した。その結果、多様な立場の参加者によるパネルディスカッション、模擬裁判、ロールプレイなど、子どもたちが必然的に相手の立場に立つアクティブな学習活動が不可欠であることを解明した。③実践的研究については、寛容性を非認知能力に位置付け、対自的寛容性と対他的寛容性の重なりに真の社会的寛容性を見出す仮説の下、中学校社会科における「子どもの権利条約」に関するモデル授業を実践し仮説の検証も試みた。④さらに教師養成研究に関しては、寛容性育成のように認知的なペーパーテストを超える教育課題を中等教育段階において展開できる教員の在り方とその養成に関する研究を展開した。また⑤社会心理学研究については対人コミュニケーションと寛容性の関係を探究した。今年度は以上のように5つの方向からそれぞれの研究分担者が寛容性育成にアプローチすることができた。
2: おおむね順調に進展している
今年度は原理的研究、方法論的研究、実践的研究、教師養成研究、社会心理学研究の4つの方向からバランス良く研究が展開できたため。
来年度については、①今年度の成果を踏まえた寛容性に関する指導計画モデルの作成、②その有効性を比較検討するための海外調査を展開して、最終的な研究成果を発表していく。
海外調査を次年度に繰り越したため。
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岡山大学全学教育・学生支援機構教育研究紀要
巻: 第7号 ページ: 140-148
In Waldenberger, F., Naegele, G., Kudo, H., & Matsuda, T. (Eds.), Alterung und Pflege als kommunale Aufgabe: Deutsche und japanische Ansätze und Erfahrungen. Springer.
巻: Springer ページ: 85-100