研究課題/領域番号 |
20K02874
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
宮崎 沙織 群馬大学, 共同教育学部, 准教授 (90591470)
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研究分担者 |
佐藤 真久 東京都市大学, 環境学部, 教授 (00360800)
坪田 益美 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (20616495)
阪上 弘彬 千葉大学, 教育学部, 准教授 (30791272)
山本 隆太 静岡大学, 地域創造教育センター, 准教授 (80608836)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地球的課題 / システム思考 / 地理教育 / 課題解決志向型 |
研究実績の概要 |
本研究は、ESDに取り組み始めた日本の中学・高校の地理教育に、未来社会のあり様を考えていくための解決志向型という考えを導入し、日本型の解決志向型地理カリキュラムの提案を行うことを目的としている。 二年目にあたる2021年度は、オンライン研究会にて、国内外の文献調査やその結果について地理学やその他教育外の専門分野からの指導助言等を受けるなどの活動を行った。その結果、研究分担者や研究協力者から、多くの実践事例の分析や提案を受け、検討することができた。 具体的な成果としては主に二点で、一つは、国外の実践事例として、ドイツの地理教育教材やアメリカの環境教育教材などは、システム思考を育むことを目的とした優れた教材であることが分かったことである。もう一つは、地理学やその他の専門分野からの知見を採り入れることで、地球的課題に取り組む優れた地理実践が提案できたことである。ドイツやアメリカでは、以前からシステム思考の育成に取り組んでいるが、地理を通して育成しようとしているドイツと、環境教育を通して育成しようとしているアメリカのそれぞれの動向について明らかにすることができた。また解決志向型地理授業のための教材研究も多くすすめることができた。 その一方で、主に二点の課題が明らかとなった。一つは、システム思考を育み解決志向型の地理教育の提案を行う際には、日本の教育課程や学習評価との関連を明らかにする必要があることである。現在の学習指導要領に示されるような資質能力に対して、本研究で育みたい資質能力はどのように位置づくのか具体的に追究することが、本研究の意義を広く示すためにも重要な課題である。もう一つは、解決志向型の学習プロセスをより明確化することである。特に、実践開発については、教材研究という点では深めることができたが、学習プロセスやカリキュラム構成、学習方略のモデル化までは至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が、2021年4月~2022年1月まで産前産後休暇と育児休業を取得していたため、研究分担者や研究協力者それぞれの取組はあったものの、研究の統括があまりできなかったため、当初の予定より遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍や研究代表者の状況により研究が遅れているため、一年延長を前提に、2022年度は、下記のことに取り組む予定である。 (1)日本の学校教育の現状と学習評価との関連について明らかにすること。 (2)解決志向型の学習方略について継続的に整理していくこと。 (3)上記を踏まえ、研究成果を公表していくこと。 成果発表については、学校現場に広く周知するためにも、論文発表はもちろんのこと、書籍としての出版も必要不可欠なことと判断し、成果をまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に続き、新型コロナウィルス(COVID-19)の世界規模の感染拡大により、本研究の中心的な活動であった調査のための海外渡航や国内移動が実質的にできない状況となったため、次年度使用額が生じている。 昨年度より一部計画を変更し、旅費として支出予定だった予算を、文献や資料収集のための費用や、研究成果の学校現場への周知に向けた書籍出版のための費用として支出することとし、最終年度に使用する予定である。
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