研究課題/領域番号 |
20K02876
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
七澤 朱音 千葉大学, 教育学部, 准教授 (10513004)
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研究分担者 |
吉野 聡 茨城大学, 教育学部, 教授 (10334004)
糸岡 夕里 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (50387966)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 実践的知識 / ビデオアングル / 教材ビデオ / 見取り / 初等体育科教育法 |
研究実績の概要 |
令和3年度前期(6月から7月)に、3つの公立小学校において、陸上運動(短距離走・リレー)、体つくり運動、器械運動(マット運動)の3単元の撮影を行った。そこでは、本研究の目的である「ビデオからの受講生の見取り内容」を比較するため ①「参観者目線」:三脚を用いて授業全体を遠方より撮影する従来型の映像 ②「教師目線」:ウェアラブルカメラ(Go Pro)を胸元に装着して撮影した教師の視線映像 以上二種類のビデオアングルで撮影し編集した。そのうち、「学習指導場面」におけるビデオの見取りの効果を把握するために、陸上運動単元(短距離走・リレー)の一時間目冒頭に一斉型で実施した説明場面5分間をピックアップし映像編集した(児童名は消音)。受講生達はこれら二種類のビデオから見取った内容を、Googleformに自由記述した。なお調査は、全講義終了後に実施し、データコーディングの対象は千葉大学の小学校体育科教育法で分析に関する許諾を得られた301名(全受講生の内、89.1%)であった。 KHコーダーを用いて質的に分析した結果、①では「児童の位置からボードが見えない」と児童の立場から授業を客観的に捉えたり、「内容に沿って授業がスムーズに展開している」と授業の全体進行に関わる気づきが生まれた。一方、②では「意外と児童の顔が上がっていない」「教師は全ての児童に視線を送り、双方向のやりとりがある」とより具体的な教授技術に関わる気づきが生まれた。 このように、ビデオアングルの差異によって、受講生の見取りに差異が生まれることが明らかになった。よって、「児童のレディネスに合う学習内容や方法の採択」をテーマにする小学校体育科教育法の前半で「①参観者目線」のビデオを併用して講義を展開し、「教師の効果的な学習指導行動」をテーマとする終盤で「②教師目線」のビデオを併用して講義を展開することが効果的だと示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も引き続き、コロナウイルスの蔓延で、授業研究(授業撮り)が難しい状況であった。かろうじて撮影できた三つの単元のうち一つの「短距離走・リレー」で、GoProとビデオカメラによる学習指導場面の撮影と編集ができた点は大きかった。大学の小学校体育科教育法講義の中で「学習指導場面」の手立てを学んだ後に、実際の動画を視聴させたことでより具体的なイメージを持つことができたと考える。 GoProは映像が大変美しく、ファイナライズされた動画は見やすかったが、教師の動きに合わせて画角が滑らかに動くため、動画を視聴して酔う受講生がいることが懸念された。よって、当初の予定より、短い時間の教材ビデオの制作となった。
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今後の研究の推進方策 |
3つの単元を撮影して編集を試みたが、授業者の身長の高低により、GoPro自体の画角が変わることが明らかになった。授業者の身長が高い場合は児童達の表情や行動が画角に収まるが、身長が低い場合は児童の足から床ばかりが移ってしまうという問題が発生した。よって、GoProを装着するハーネスを肩や帽子に装着するタイプに変更し、利用していく予定である。 また、令和3年度は授業の「学習指導場面」を取り上げたが、令和4年度は体育授業における運動時間確保のために欠かせない「マネジメント場面」を取り上げ、教師が用具を出し入れしたり環境整備をしたりしている際の、①参観者目線、②教師目線、の二アングルで動画を編集し、同様の方法で分析していく。またこれを、「マネジメント方略」を学ぶ講義でどのように用いていくのかを検討する。 令和4年度は愛媛大学とより連携して「マネジメント場面」のビデオ撮影と製作を行うとともに、愛媛大学の受講生も対象として広げ、令和3年度に調査した「学習指導場面」のビデオを基に、講義前と講義後の見取りの変化も分析項目として追加検討していく。また、まだ撮影ができていない表現運動単元やボール運動単元などを撮影し、取り上げる運動領域を広げていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、コロナ禍において、授業研究に協力可能な学校が少なかった。実際、小学校でクラスターが多く発生しており、研究を依頼できる状況ではなかった。こういった状況下だったため、物品購入も最小限となった。しかし、コロナ禍は引き続く状況であっても学校の捉え方が変化しつつあり、授業研究や外部者の入構に関して、徐々に緩和措置がとられているため、次年度はより多くの授業撮りを計画している。授業撮りは、同時期に別の場所で行われることも多々あるため、機材を追加購入して授業撮りに備えたい。また、最終的にデータをまとめるDVDの製作などに関しても、検討を始めたいと考えている。
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