研究課題/領域番号 |
20K02876
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
七澤 朱音 千葉大学, 教育学部, 准教授 (10513004)
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研究分担者 |
吉野 聡 茨城大学, 教育学部, 教授 (10334004)
糸岡 夕里 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (50387966)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 実践的知識 / 小学校体育科教育法 / 教材ビデオ / 教師目線 |
研究実績の概要 |
2023年度は特に、授業動画の編集方法の差異が受講生の見取りに及ぼす影響に着目し、2021年度から3カ年に亘り製作した小学校体育実技の授業動画を、B大学の「小学校体育科教育法」の各年度の受講生がどのように見取ったのかについて比較分析することを目的とした。 動画内容と視聴方法は、以下のとおりであった。2021年度は「短距離走・リレー単元」における「インストラクション場面」を、①教師目線(以下①と表記)、②参観者目線(以下②と表記)の2アングルに分け、受講生にそれぞれ視聴させた。2022年度は「器械運動・マット運動単元」の「マネジメント場面」を製作し①②でそれぞれ視聴させた。2023年度は、過去二年間で別々に用いた①②を各場面別に一つの動画に再編集し(シーン別に①②いずれかの動画を採用)、2アングルをMIX(③教師・参観者目線MIXと定義し以後③と表記)して視聴させた。Google formを用いて、3カ年の全受講生に動画の見取り内容を文章で回答させた。得られた文字データは、表記の揺れなどを調整した後、KHコーダーの共起ネットワークを用いて分析した。 分析の結果、アングルを分けてそれぞれ視聴した2021・2022年度の受講生では、①に対して説明時の教師の視線の動かし方や指示言葉についての見取りが多くなり、②に対して児童の立場で考えた掲示物の見やすさやルールの理解度の実態、身につけるビブスの具体的な色などに対する見取りが多くなることがわかった。一方、③を視聴した2023年度の受講生では、短距離走(リレー)の学習内容・方法(点数化等)といったより具体的なルールについて、また児童を学習の主体(文章の主語)とする記載が新たに観られた。共起分析を通して、①②それぞれのアングルで受講生の見取りの実態(メリット・デメリット)が異なり、③は①②のデメリットを補う可能性を持っていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響を受けて、研究の初年度に学校現場での撮影が一切できなかったため、撮影に関して研究のスタートが遅れそのまま遅れ気味で研究が進行している。しかし、徐々に撮影協力を得られる学校が戻ってきており、今年度は少しペースを戻した。ただ、研究当初に予定していた学校数より少し少ない状況で進行しているため、上記の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が最終年度となる。過去の研究成果を礎にして、小学校体育科教育法における模擬授業で、教師役を行った学生と児童役のみだった学生とで、相互作用行動ビデオの見る視点、見る力がどのように異なるのか否か、について分析を進める。 次の最終年度の研究により、教師の効果的な三大学習指導に関するビデオ教材の製作とその成果の検証が完遂する予定である。学会にも積極的に参加し、研究をまとめていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行が少し遅れている。その関係で、撮影予定の授業が残っていたり、編集作業がまだ残っている。新たな成果を発表する機会を次年度に確保するために、次年度使用額が生じた。
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